表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/57

第4話 アリシアは変わってしまった

アリシアの裏切りは決定的なものになった。彼女の目には俺は映っていない。彼女の目に映っているのは勇者エリアスだけなんだろう

明くる日の朝、アリシアから馬小屋へ訪ねてきた


「おはよう。本当だったんだね。今は馬小屋で寝泊りしてるって」


「ああ、エリアスに言われて。部屋が取れないらしい」


「......そんな......」


そんな訳は無い。だが、俺へのこのパーティの待遇は馬小屋で十分という事だ


「気にしないでくれ。俺はあまり困っていない


 アリシアの方こそ大変だろう


 魔族の討伐で勇者エリアスと打ち合わせがいるんだろ?」


勇者エリアスの名前が出るとアリシアはびくっと震えた


「今日は私、特に用事無いから、今日はレオンと久しぶりに話したくて」


俺は訳がわからなくなった


「悪い、俺、今日、いろいろやる事があって。サポーターも色々やる事あるんだ」


俺はつれなくそう言った。本当はアリシアと話したかった


 でも、アリシアと勇者エリアスの関係を知ってしまった


 俺は素直に話しなどしたくなかった


 そんなに大人では無いのだ


「ちょ、ちょっと待って、お願いレオン」


「.................」


俺は無言になった。アリシアに無言で返した事など一度も無い


「久しぶりに一緒に話そうよ


 私、レオンと昔の事話したくって」


「俺と話す事なんてどうでもいいんだろ?


 今は勇者エリアスの事で頭がいっぱいなんだろ?」


俺は直球で突き放した


 正直、こちらの方が泣きたい状態だ。アリシアは下を向いた


 そして、アリシアは再びびくんと震えた


「そうよ、エリアスはかっこいいし、地位も名誉もあるわ、あなたと違って」


アリシア、やっぱりそんな風に思っていたんだ。俺はアリシアを追求する事にした


「俺、2日前、エリアスの隣の部屋に泊まってたんだ


 お前達が何をしていたのか全部知ってるんだぞ」


俺は涙声になってきた


「あなた出歯亀してたのね、役立たずの上、人の愛の営みを覗き見るなんて最低よ」


「アリシア、俺の事を何だと思ってるんだ?」


「足でまといのただの役立たずよ」


「俺はアリシアの婚約者なんだぞ、それなのにアリシアは......」


「そんなの知らないわよ。私が愛しているのはエリアスなの、あなたじゃないわ」


アリシア、何処までおかしくなっているんだ。いくらなんでもおかしいだろう?


「俺がどれだけ惨めだったと思うんだ


 お前は侍で、俺は役立たずだ


 ああ、男としてエリアスの方がいい事位俺だってわかっているよ


 でも、お前は将来を誓いあった婚約者じゃ無いか


 それなのにお前は俺を裏切ったんだ


 まずは俺に謝って、婚約を解消する方が筋だろう?


 それなのに、居直るのか?」


「当たり前でしょ、あなたと私では身分が違うの、


 たまには優しくしてあげようかと思ったのに、つけあがらないでよ」


「俺とアリシアでは身分が違うのか?


 馬鹿にするな!」


俺はアリシアに心底怒りが満ちた。こんな酷い女の子じゃなかった筈だ


 浮気しておきながら、開き直り、平然と俺とは身分違いだなんて、そんな話あるか?


 馬鹿にするなよ。どこまで馬鹿にするんだ?


「あなたにはね。ここらで故郷に帰ってもらおうと思って、話しかけただけなのよ」


そういう事か......


 俺は最後の言葉にほんの少しだけ期待を寄せていた、


 もう、ほんの僅かな事だった


「俺、昨日言ったよな


 俺、アリシアの事、好きだって。アリシアは答えなかった


 俺は辛かったよ。君からの私もよと言う言葉を聞きたかった


 アリシアは俺と一緒に育った頃の事忘れたのか?」


「そんなの覚えている訳ないじゃない......」


信じられない事にアリシアは俺にとって大切な思い出を忘れたと簡単に言った


 俺の幼馴染はもう変わってしまった。もう、俺の知っているアリシアはいないんだ


 その日も俺はエリスの胸の中で泣いた


 エリスはまるで女神の様に優しく俺を包んでくれた


 アリシアが憎かった。だけど、アリシアに戻って来て欲しかった


 例え、エリアスと間違いを犯したとしても、俺はアリシアに戻って来て欲しかった


 だけど、アリシアはもう、昔のアリシアじゃない


 ほんの数ヶ月で彼女は変わってしまった


 アリシアやベアトリスが勇者エリアスに連れられて、


 王都や都市の貴族の晩餐会に行くのを見た事がある


 二人は綺麗なドレスを身に纏って、まるでお姫様の様だった


 俺にはそんな金も権力も名声もない


 アリシアは俺が子供の頃プレゼントしたおもちゃのネックレスをいつも身につけていた


 今は、エリアスからもらった、本物の宝石のネックレスを身につけている


 ああ、俺はエリアスとは比べ様がない


 アリシアとエリアスはお似合いなんだろう


 だけど、二人で一緒に育った、あの思い出をアリシアは忘れられるのか?


 俺はどんな事があっても忘れられない


 俺はただ、泣き続けた。そんな俺をエリスは頭をさすり、慰めてくれた

よろしければ評価・ブックマーク登録をお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

読んで頂いた読者様ありがとうございます☆ 本作について、 「ちょっと面白かった!」 「島風の新作を読んでみたい!」 「次は何を書くの?」 と思って頂いたら、島風の最新作を是非お願いします。リンクがありますよ~☆ 読んで頂けると本当にうれしいです。 何卒よろしくお願いいたします。ぺこり (__)
経験値10000倍~ハズレスキル放置プレイヤーが覚醒したらレベル上限なし! 最強で最速のレベルアップ、俺は隙間時間を利用して世界最強に成り上がる~ ▲上記の作品もよろしくお願い致します(宣伝)▲
― 新着の感想 ―
[良い点] 女性は貧乏暮らしと豊かな暮らし、どちらか選べるなら豊かな暮らしを選ぶのは当たり前とも言えますよね そして、男性は頑張って自分の価値をあげるために他の男性と色々な方法で競う訳です。 主人公…
[気になる点] いま一番 先が気になる作品
[良い点] 面白いです 続きが気になります
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ