第38話 ベアトリスの告白
妹ベアトリス、ベアトリスには秘密があった
「いい加減そいつにリザレクションをかけてやれ」
俺はベアトリスに言った。アリスは痛みをこらえ、うずくまっていた
「まだ、いいんじゃない?それくらいの傷じゃ直ぐには死なないわよ、剣豪は」
「お前ら仲間なんだろう?
何故そんなに冷たくできる?ベネディクトだって仲間だったんだろ?
あの時すぐにリザレクションをかけてれば生きていられた筈だ」
「なんであんなぽっと出の女の為にそんなことしなきゃいけないの?
リザレクションは結構精神への負担が大きいの
すっごく疲れるのよ」
「つ、疲れるってお前、人の命だぞ!」
「虫けらの命に何の価値があるの?」
「ベアトリス、いい加減にしろ!
これからはお前をもう妹とは思わない
俺の事も二度と兄とは呼ぶな!」
「本当、お兄ちゃんって酷い人ね。いったい私がいつもどんな気持ちだったか知ってるの?
知らないでしょう?
そうやっていつもいつも自分の正義感を周りに押し付けて、私のことを傷つけて
お兄ちゃんてさ、私のことどう思ってたの?
私はね、お兄ちゃんのことがね」
「待て、ベアトリスお前、何を言って......」
だが俺の言葉は遮られてしまった
「レオンのことが好きだったの
兄ではなく、一人の男の人として
レオンはそうじゃなかったでしょ?
違うの?
好きでもないのにどうしていつもいつもあんなに優しくしたのよ、おかしいでしょう?
好きじゃないならあんなに優しくしないでよ!
兄妹で愛し合って何がいけないのよ!
何か悪い事でもあるなら教えて?」
聞かなければよかった事もある。ベアトリスの気持ち......
そんな事考えた事もなかった。だって俺たちは兄妹なんだから
俺は妹を散々に甘やかしてきた
大切な、本当に大切な妹だ。だけど、一人の女として見たことは無かった
「ベアトリス」
「何よ、どうせ気持ち悪いとかって思ってるんでしょ?
いいわよ、もう。あんたなんか必要ない
だって今の私にはエリアス様がいるから
エリアス様さえいれば他に何もいらないの」
「ベアトリス、俺の事を恨むのは構わない
だけどな、これ以上エリアスと一緒になって悪事を働くのだけは止めるんだ」
「私達が悪事って?
いったい何のこと言ってるの?
悪事を働いたのはお兄ちゃんの方でしょ?」
「俺達は商隊を護衛していただけだ。冒険者として」
「嘘よ、エリアス様が悪い奴らだって」
「それにもし犯罪者なら、殺すよりも生きたまま警護兵に引き渡した方がいいだろ?
それを何故関係無い人まで殺す必要がある?」
「だって、エリアス様が、悪い奴らだから殺して構わないって」
「エリアスが言ったら、誰でも殺すのか?」
「殺すわよ。当たり前じゃないの。エリアス様はいつも正しいのよ」
「ベアトリス、お前騙されている
良く考えてみろ。悪人だからって、全部が全部殺して言い訳がないだろう?」
「そ、そんなの知らないわよ」
「もういいだろう」
エリアスが不機嫌に割り込んできた
「お前ら、さっさとその二人のごみを持って帰れ。俺の気分が変わらないうちにな」
「......」
俺はベアトリスの事が気になったが、ここは無事に逃げる方が先決だ
今の俺ではエリアスに勝てるかどうかわからない
「レオン殿」
イェスタが俺を急かした
「わかってる」
俺は渋々承知した
「二人の遺体をもらい受ける」
俺達はシモンとベネディクトの遺体を引き取ると、その場を後にした
注意:島風の取説、島風はコメント欄を見ない時があります。自身のメンタル守る為です。この種の小説は人間の感情のデリケートな部分を扱っている為、様々なご意見を頂きますが、島風は結構、傷つきます。その為、せっかく感想を書いて頂いたのに、返信できない時がございます。失礼は重々、承知しておりますが、それは島風のメンタル崩壊中とご理解頂き、失礼をご容赦頂きます様お願いします




