第17話 冒険者試験
エリス、そんなに強かったの?
エリスとギルド長の模擬試合が始まった
エリスとギルド長が木剣で戦うというものだ
「大丈夫、エリス。スキルを使いこなせれば、必ず勝てる」
「はい。私、頑張ります」
とは、言ったものの、俺に自信は無かった
「始め!」
受け付けのお姉さんが、開始の掛け声をかけた
ギルド長が剣を構えた
見たところ、かなりの使い手だろう。隙が無い
一方のエリスはと言うと、開始の声とともに不意に姿が消えた
『き、消えた?』
俺は驚いた
「カンッ!」
乾いた音があたりに響き渡った
ギルド長も受け付けのお姉さんも声が出ない
ギルド長は1歩も動けず敗北していた
エリスは消えたのでは、なく、とんでもない速度で走ったのだ
「エリス、すごいぞ!良くやった!」
「レオン様、私、凄く早く動けましたよ」
「そう、それがエリスのスキルだよ」
「私のスキル」
エリスの顔に笑みが拡がり
「やりましたー!」
「・・参りました」
唖然としていたギルド長がようやく我に帰り負けを認めた
「大変失礼致しました」
「いえ。でも、これで冒険者ギルドへの加入試験は合格ですか?」
「もちろんです。何よりも高レベルの冒険者はギルドにとっての宝ですから
フィーナさん、至急手続きを進めて下さい」
「わかりました」
ギルド長はすぐに手続きを再開するよう指示してくれた
「本来、冒険者ギルドへの新規加入の説明は受付の者が行っていますが、
お時間をとらせてしまったので私の方から説明させていただきます」
「その間に受付の方が手続きを進めていただけるのですか?」
「勿論です。あと、私の名前はフィーナと申します
今後、私のことはフィーナと呼んで下さい」
受け付け嬢はフィーナと言うらしい。
「わかりました。ではフィーナさん、改めましてよろしくお願いします」
「こちらこそ。それでは、レオン様とエリス様はギルド長とあちらへ」
それからギルド長は俺達に冒険者の事について説明してくれた
主に、禁則事項についてだ
冒険者は職務上、人を殺める事がある
護衛などの任務中の犯罪者等への殺害や傷害は罪に問われない
冒険者同士お互いに相容れない事象が発生した場合、決闘で解決する事が認めらていれる
この場合、誤って殺害してしまっても、罪には問われない
ただし決闘は双方の意思を確認した者がいないと成立しない
「だいたいはわかりました」
「最後に、初めのうちは薬草集めなどの簡単な依頼から初めて、
地理やフィールドの魔物の知識を手に入れる事が大事です」
「そうさせていただきます」
「あとは、誰かの冒険者パーティに加入する事をお勧めします
最初のうちは色々と教えてもらう先輩が必要です
冒険者ごときと侮らないで下さい」
「パーティへの参加は......」
俺は口篭った。他所のパーティに参加すれば、俺やエリスの特異なスキルや魔法がばれてしまう
「もちろん加入するしないは個人の自由です。ただ、一流の冒険者でも、初歩的な情報が欠落することで命を落としてしまう事も稀ではありません」
「ありがとうございます。検討してみます」
だいたいの説明が終わるとフィーナの手続きも終わっていた
「これをどうぞ。冒険者プレートです」
白い金属のプレートを手に取る
「最初はFクラスからのスタートになります」
「わかりました」
「プレートは身分証明書にもなります
他の街へ行く際の通行証にもなります」
「わ~綺麗!」
エリスはプレートをえらく気にいった様だ
たしかにアクセサリーの様にもみえる
「ありがとうございます
早速、何か依頼を受けてきます」
「お気をつけて」
二人に見送られて、俺達は依頼の掲示板の元へ行った
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