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熊と魚

作者: 齋裕有

図書館で勉強中の女性。


長時間の勉強に嫌気がさし、


彼女は息抜きに一冊の絵本を読むことにした。





「クマさんとおさかな」


毎日生きるためにおさかなを食べるクマさんがいました。


いつものようにお腹がへったクマさん。


さあ、今日もおさかなをいっぱい食べるぞ!


元気に川へむかいます。


いつものように川に入り、どのおさかなを

食べようかと迷っていると、


とても美しい泳ぎ方をするおさかながいました。


太陽の光がウロコに当たり、キラキラと

光っていて


クマさんは食べるはずのおさかなに

恋をしてしまいました。


けれど、クマさんはどうやっておさかなに好きと伝えたらいいのかがわかりません。


なので毎日まいにち、そのおさかなに

どれだけ好きなのか伝えることにしました。


毎日まいにち好きと伝えても、おさかなは、ずーっと泳いでいるだけ。


クマさんのことなんて見向きもしません。


それでも毎日好きと伝えてくれるクマさん。


少しずつおさかなもクマさんのことを好きになっていきました。


それがうれしいクマさんは今までよりも沢山好きと伝えるようになりました。


おさかなも、クマさんのことが大好きになったころ


おさかなは言います


「クマさんのことを好きになっても、私たちは一緒に住めないし、愛し合えません」


そこでクマさんは言いました。


「愛し合えないならせめて一緒になろう」


そしておさかなはクマさんに食べられました。


丸呑みされて、ゆっくりと消化されていく中、おさかなは、うれしいけれど苦しくて泣いています。


クマさんのお腹の中で泣いている声、


その声もまた美しいものでした。


そのおさかなを最後に、クマさんは何も食べなくなりました。


「あなたが消化される苦しみをボクも違う形で苦しんだ。だから、生まれ変わったら一緒になろう。

少しでもあなたに気がついてもらえるように、僕は生まれ変わったら、クマのように大きな体になって、そしておさかなような目もつける。だから気がついておくれよ。」


そう言ってクマさんはしんでしまいました。


おしまい。





女性は絵本を閉じる。


心をスッキリさせたくて読んだ絵本なのに

なんだかスッキリしない。


どんな人が描いているんだろう。


気になって作者紹介のページを開いて彼女は気がついた。



「なんだよ、(作者の)お前がモテたかっただけかよ」


作者の顔写真を見ると、大きな体格をして目が離れていた。




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