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少女ロロの事件記録手帳  作者: 烏丸牙鳥
合い言葉は「RED」
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アンチ雪の女王軍

――やがて、事件現場は、マスコミが聞きつけたらしく、次々に報道カメラマンが駆けつけた。


「うっわ、なんか大変なことになってますね……」

 私が、カーテンの隙間からウィバー部長の別荘を見ると、「はっはあ!ついに私の家も全国放送レベルってことねえ!」と、めちゃくちゃポジティブな考えをする部長がいた。


「ウィバー、何か策はあるの?」

 セロン先輩が、聞く。

「んー……最悪の場面は考えてるんだけどお……シュントを無傷で取り戻して、犯人を全員、魔術を使わずに外に出す、って方法ねえ……」

 部長は、そう言って、眉間をもみほぐすような仕草をした。


「犯人に告ぐ!お前たちの母親が到着した!母親の心境を聞け!」

 そんな、スピーカー越しの声が聞こえた。しかし、母親たちは、一様に泣きながら「どうしてこんな子に……」と嘆いている。


「まずいわね……」

 部長が言うと、犯人は、さらに激昂した。


「ふざけんな!!お前らが、俺らを追い詰めたくせに、被害者面してんじゃねーよ!!そんなにエリートになってほしいなら、魔術師と結婚すりゃ良かっただろーが!!マジでふざけんな!!」

 

 ……逆効果だったらしい。

 そして、どうやら、部長の言っていたとおり、犯人たちは「魔術師になりたくてもなれなかった一般人」だということがわかった。

 ねたみ、ひがみ、そねみ、である。


「俺らの要求はただ一つ!雪の女王の退任だ!!それを飲まねーと、人質ぶっ殺すぞ!!」


「……今の世の中、魔術師・武術士でないと、エリート街道に乗るのはむずかしいからねえ」

 部長はそう、呟く。そして、勝手知ったるように、テレビを付けた。


『私は今、事件の現場に来ています。犯人グループは今も警察庁長官の別荘に立てこもり、人質がいるとのことです。また、犯人グループが私刑を加え、一名が重体だという話も飛び込んできています』

 リポーターがそう、カメラに向かって説明をしている。

 部長は、テレビをザッピングし始めると、一つの局で指を止めた。


『この、「アンチ雪の女王軍」、通称「RED」とのことですけどね、これらは雪の女王が観光客誘致のためにノース地方を「常冬の地」にし始めてから、既にあった団体なんですよね。これはね、あのー「RED」というのは、「炎」のことを指しているんですよね。炎で雪を溶かそうと。そういう意味なんですよね。犯人グループは、いわゆるエリート集団なのですが、魔力を持たない一般人ということで、くすぶる何かがあったのではないでしょうか。これを機に、「魔力絶対主義」のような、そういうものがなくなると良いですよね』


「はんっ、何よこの、『頭良くない人のために、頭良いやつはハーバード大に入るな』みたいな論調。でも、REDについては多少わかったわあ」

 ウィバー部長は、そう言ってポキポキと肩を鳴らした。


「まとめると、犯人たちは、そこそこ裕福な家庭の生まれ。そして、魔力を持たなかったが故に、エリート街道から外れてしまった。そのことを恨んでいる。そして、活動家になったことで、その恨みを晴らそうとしている。裕福な家だったからこそ、アンチ・マジック装備を闇ルートで買うほどのお金があった。犯人たちの声明からすると、雪の女王の退任を求めていると……そんな感じかしら」


 セロン先輩が、ほぼ完璧にまとめてくれた。

「まあ、そういうことねえ。しかし、現場は膠着状態だし、あんまり……お?」


 そこで、部長が何かに気付く。

「あれ、マシタじゃない?」

 そう、警察の団子状態の群れの中で、マシタ警部が到着した姿だった。


「そっか……マシタが来たのなら、あの堅物ガラ警部も私たちを認めざるを得なくなるわよお!さあ、もう一回、警察に突撃よお!」


――

 私たちは、再度警察のところに駆けていくと、「マーシーター警部-!!」と叫んだ。


「あなたたち……帰ったんじゃ……」

 呆れたように、ガラ警部がこっちを見やった。それを無視して、部長はマシタ警部にまとわりつく。


「ねえねえマシタ!この堅物に私のこと紹介してよお!名探偵だって紹介してよお!」

「お前……医者か弁護士との合コンに来た女じゃないんだから、そんながっつくな。あー……ガラ警部。こいつはこれで、なかなか役に立つこともあるので、ここにいさせても良いとは思います」


 一応、マシタ警部は、紹介と言えば紹介してくれた。

 ガラ警部は、改めて部長を見やる。小柄な部長は、大柄のオーク族の女性であるガラ警部とでは、ガラ警部を見上げる形になっていた。


「……この子が……?……いや、外見で人を判断してはいけませんね。まあいいでしょう」

 と、ガラ警部は、ようやく折れてくれたようだ。


「で、これが手土産。画像転移で私たちが見た、バックアップ動画よお!」

「最初からそれを渡してください。では、確認させていただきます」

 ガラ警部含む、警察官が一斉に、その画像転移の動画を観始めた。


「……こんな重要画像があったのなら、もっと早く渡してくれれば良かったのに」

 ガラ警部がそう苦々しげに言うと、部長は、

「追い出したのはそっちよお!でも、これで私が名探偵だってわかったわね!?」

 と、胸を張った。

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