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少女ロロの事件記録手帳  作者: 烏丸牙鳥
合い言葉は「RED」
35/42

ガラ警部

「おハロハロー!警察の皆さあん!」


 ウィバー部長が、いつもの調子で、背後から警察の群れに声をかける。警察たちは、突然現れた、マント姿の女子学生に戸惑いを隠しきれていない。

「この中で、この事件の指揮を執ってる人は誰かなあ?教えてくれると嬉しいんだけどなあ?」

 部長がそう言うと、さっきまでメガホンで犯人と交渉していた、背の高いオーク族の女性がずいっと前に出た。

「私は、ガラ警部と申します。お話があるのなら、私が聞きますが」


 ガラ警部は、オーク族特有の青い肌をした、モデルのように身長の高い女性だった。さらに、胸もヒップも豊満で、スーツの生地を押し上げている。その割りに、ウエストはきゅっと締まっており、さすがオーク族であり警察、身体能力は高そうである。


「まずは、ガラ警部、通報をしたのは私たちですう。くわしいいきさつをお話したくてえ」

「ああ、通報ありがとうございました。お話をお伺いしたら、警察車両で駅までお送りさせていただきますので」

「え」

「え、って何ですか。当たり前でしょう。学生を現場に残すわけにはいきません」

 そりゃそうだ。私は、ガラ警部に納得した。

「でもお、人質に取られているのは、うちの部員なんですう。部員を残していくわけには……」

「大丈夫です。警察が総力を挙げて、学生さんは必ず救助いたします。ですから、お送りいたします」

「え」


 私は、一切口を挟まず、部長がどう言い訳懇願してここに残るのかを見ることにした。


 しかし、部長は、

「あ、そうですかあ。でも、送らなくても結構ですう。私たちは怪我もありませんし、自力で帰れるのでえ」

「そうですか?」

 ガラ警部は、人員をあまり割きたくないのか、そう言って肯定した。私は、部長に「良いんですか?」とささやく。


「では、私たちはこれで……」

 と、部長はガラ警部から離れる。私も、一礼して警察の塊から外れた。


「無視しないでください。良いんですか?部長」

「良いも何も、あの刑事、とりつくしまもないじゃない。ああいうしかないわよお」

「珍しいですね?部長が事件に関与しないって」

「だあれが関与しないって言ったっけえ?」


 そう言って、部長はふふふと不敵に笑った。

「とりあえず、セロンとアジャリと合流しましょ。あと、かる~く聞き込みよお」



――セロン先輩とアジャリ先輩は、警察車両で送られる直前だった。

「ちょーっとすみませえん。その子たち、私たちの部活の子なんですよお。一緒に歩いて帰りますから、車から降ろしてもらって結構ですう」

 そう、部長が言うと、警察の人は、ちらりとガラ警部の方を見る。そして、「そう言われるのでしたら……」と、2人を降ろしてくれた。


「ありがとうございますう。でも、一体どこの組織なんでしょうかねえ?あの人たちは。確か、自分たちでは『RED』って名乗ってましたけどお」

 そう部長が言うと、警察官は、「ああ」と声を上げる。


「REDっていうのは、元々共産主義の革命家が掲げたんですけどね。でも、あの4人は違いますよ。確か……『アンチ・雪の女王軍』とかいう一派です。魔力を使わないのも、そのせいでしょうね」

「なるほど、なるほど」


 部長はうなずいて、

「でも、実際は5人ですよお。仲間割れというか、内輪もめで1人が大怪我しているので、早く決着した方がいいですう」

 と、忠告した。

 すると、パトカーに乗っていた警察は慌てて、「情報提供ありがとうございます!おい、ガラ警部に報告!」と、パトカーを降りて、部下らしき男性と、ガラ警部の下に走って行った。


「ウィバー、ロロさん、無事だったのね……」

 セロン先輩が、ほっとしたように言う。しかし、部長は、

「感動の再会は後よお。とりあえず、私たちのアジトに戻りましょ」

 と、体を翻して隣の家にまで走って行った。

「……アジト?」

 セロン先輩がきょとんとしているので、私は「あはは……」と言葉を濁す。


「早く!早くこっちこっち!」

 と、部長が柵の鍵を開けて言うので、セロン先輩は、

「ウィバー!それ他人の家じゃないの!?」

 と叱ろうとした……が、何か悟ったのか、

「……ああもう!」

 と腹をくくったように柵をくぐった。

 寡黙なアジャリ先輩も、それに続く。


 こうして、私たちは、再び隣人の別荘に押しかけていた。


「ウィバー、何か考えはあるの?」

 と、セロン先輩が部長をにらむ。この真面目な先輩は、「他人の家に忍び込む」というデメリットと、「策があってこそ」というメリットを一生懸命天秤にかけているのだろう。

「んー?考え、ねえ。どうなのかしらねえ」

 と、部長ははぐらかしている。


「考えなかったら、ただの不法侵入じゃないこんなの!」

 信じられない!と、セロン先輩は、いつもの穏やかな様子とは全く違って、叫んでみせる。

 部長は、「とりあえず、パン食べてよお。お腹すいたでしょお?」とさほど気にしていない様子でパンを勧めた。


「まあ、また画像転移使って、中の様子を探るわあ。シュントが人質にされてるのは解決できてないしねえ。とりあえず、第一目標は、シュントを無傷で取り戻すことよお」

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