通り魔事件の再来!?
セロン先輩から、「今日は早く帰って良い」と言われ、私は、とりあえず顔見せだけで帰ることにした。ウィバー部長は、ぶうぶう言っていたが、セロン先輩から、
「後は私がなんとか言っておくから」
ということだった。
教室に戻ると、キジャモとシャンテが待っていたので、「明日からは待たなくて良い」と告げて、私たちは帰ることにした。
「えーっ!?ロロちゃん、報道部に入っちゃったんだ!?」
キジャモが驚いて言う。シャンテは、「ああ、そうなんだ。どうりで遅いと思った」とだけ言った。
「じゃあ、3人で帰るのも最後かも……しょぼん」
キジャモが、そう口で言って、がっくりと肩を落とす。
「あたしも部活入ろうかな-。陸上とか面白そうだなあ。球技は苦手だからさー」
と、シャンテも加わる。
「ええっ!?シャンテちゃんまで部活入っちゃうの!?一緒に帰ろうよ-!」
というのは、キジャモである。
「キジャモ、お前はちょっと甘えすぎ。ロロだってあたしだって、もちろんキジャモだって、入りたい部活あれば入れば良いさ」
と、シャンテがキジャモをなだめた。
「部活かー。考えたことなかったな-。一人で帰るの寂しいし、私もどこかに入ろうかな-」
キジャモが考えながら言う。
「一緒に報道部入るのはどう?私も、知り合いいた方がやりやすいし……」
と、一応キジャモに告げてみると、
「報道部ね-。ロロちゃんと一緒っていうのは魅力的だけど、あそこ、評判悪いんだよ!」
と、とんでもないことを言われる。
……多分、その評判悪いのは、大方ウィバー部長のせいだと思います。
そんなこんなで、私たちは寮に着くと、シャンテと別れて、私とキジャモの部屋に戻った。
部屋の中は……カオスだった。酒の缶ではないが、ジュースの空き瓶が転がっており、そこに麻雀卓を無理矢理置いたのか、部屋の中央部分だけ四角くゴミがなくなっている。その説明でわかるとおり、後はゴミの山だ。
「……キジャモ、ゴミ袋持ってきてくれる?」
そう聞くと、キジャモは、「ロロちゃん、やってくれるの?優しい!」とは言ったが、もう何回このやりとりをしたのかわからないくらい、私が後片付けをすることになっていた。
そんなこんなで、夜。
ようやく、頭の中にトラストが戻ってきた。一旦呼び出して、1~2日しないと、ディレイが解除されないらしい。ディレイの説明は、マナツさんがしてくれたけど。
『ロロちゃ~ん!俺の活躍が増えるのかねえ!ロロちゃんあんまり呼び出してくれないから、寂しかったんだぜえ~~?』
(ごめん、トラストにはあんまり頼らずに行きたかったんだけど……)
『いいっていいって。水くさいこと言うなよ~。ロロと俺は一心同体じゃねーか!ぎゃははは!!』
トラストはそう言うが、私は正直、「これで良かったのかな」とも思っていた。
しかし、トラストがあまり気にしていないことを知ると、少しほっとしたのだった。
その夜は、そのまま休んだ。
――次の日の放課後。
私は、部活棟2階の、報道部部室の前に立っていた。軽く二回ノックすると、「失礼します」と声をかけて中に入る。
すると……。
「キャー!レミたん負けないで~!!がんばえ~レミた~ん!!」
と、黄色い声が響いていた。何事かと思って見ると、パソコンの前で、セロン先輩がアニメを観ている。しかも、魔法少女もので、幼児向きのアニメだ。
室内を見ると、男性2人はコピー機で新聞を刷る作業をしており、窓際の一番大きなスペースを取っている部長用デスクには、苦い顔をしたウィバー部長が座っていた。
「ウィバ-せんぱ……部長?セロン先輩は良いんですか?あれ……」
と、私が聞くと、ウィバー部長は苦い顔のままで、
「週に1回、あれをしないと、セロンは作業に取りかかれないのよお」
と言ってみせた。
……あの優しくて正義の味方のセロン先輩は、どうやら重度のアニメ好きだったらしい。
「それよりっ!これから取材に行くから、ロロは付いてきて!」
そう、ウィバー部長に言われ、私は、「?」を出す。
「何の取材です?」
と、私が聞くと、ウィバー部長はにやりと嫌な笑い方をすると、
「通り魔の取材に決まってるでしょお?私たちは、ここのところずっと、通り魔の事件を追っていたのよお!」
「でも、通り魔って、もう逮捕されたんじゃ……」
「と思うじゃん?でも、逮捕されてからが勝負なのよお!本人に面会して、色々と聞き出すのよお!」
「へえ、本格的なんですね。じゃあ、面会予約とか取りました?」
「ん?」
「面会予約」
「何それ、必要なの?」
「…………」
この人、アポなしで犯罪者に直接会えると思ってたんだ……。
「とりあえず、容疑者に会う前に、今日はアポ取りましょう」
「え?直接行くの?電話とかネットとかでちょちょいと取れないの?」
「そんなんで取れてたまりますか。住民票の写しを取るんじゃないんですよ」
現在、うちの都市では、犯罪者に面会する場合、書類に住所氏名などを記入して、あらかじめ前日に提出することになっている。間違っても、ウィバー部長のように、アポなしで行ってはいけない。
「じゃあ、予約とって……」
と、ウィバー部長が言いかけたそのとき。
「ロロ!ここか!?」
と、部室のドアを開けて飛び込んできたのは、キジャモとシャンテだった。
「どうしたの……二人とも……」
そう私が聞くと、二人は息を切らせている。キジャモは、顔が真っ青だ。
「ブエルちゃんが……ブエルちゃんが、通り魔に殺されたんだよ!!」
キジャモがやっとそう言うので、私は戦慄する。
ブエルが……殺された?通り魔に?通り魔は捕まったはずなのに……!?




