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少女ロロの事件記録手帳  作者: 烏丸牙鳥
愛の殺人
19/42

報道部へようこそ!

「紹介するわね。この、おさげの眼鏡が3年生の『シュント』。それで、このオークの子が3年生の『アジャリ』。それから、ピンクの髪のこいつが4年生の副部長、『セロン』で、この私が3年生の部長、『ウィバー』よお。よろしくねえ」


 ウィバー先輩から、一通り部員を紹介される。しかし、私は、きょろきょろと辺りを見渡した。……デスクが、4つしかない。


「あの、他の人たちは?取材にでも行ってるんですか?」

「ぐはっ!」

 他にも部員がいると思っての疑問だったが、何故かウィバー先輩がダメージを受けている。

「あ、あのね、ロロさん。うちは4人で全員なのよ」

 セロン先輩が、声を潜めて伝えてくる。


「4人って……人手足りるんですか?」

「ぐあっち!」

 また、ウィバー先輩にクリティカル食らわせてしまった。後で報復されないか、心配だ。

「人手が足りないから、私たちも部員が欲しかったのよ。去年は結局1人も残ってくれなかったし……」

 セロン先輩がそう言うと、ふうっとため息をついた。


「で、でも、女の子3人に増えて嬉しいわ?結構ハードな部活だけど、やっぱり華がないとね」

 セロン先輩が、自分の体の前で両手を組んで言う。……?私は、疑問に思った。

「3人?4人の間違いでは?」

 すると、セロン先輩は、「あっ」と声を漏らした。


「……実は僕は男なんですよ……」

 眼鏡のシュント先輩が言う。え!?でも、スカート履いてるし、おっぱいあるし、髪も長いし……。

「はっはあ!私が一昨年の文化祭でうっかり女装させたら、新しい扉開いちゃったみたいで、毎日女装してくるようになったのよお!あんま気にしないでねえ!」

 ウィバー先輩がそう言う。

 ……趣味は本人が良ければ良いけど……でも、ウィバー先輩は、もっと反省した方が良いと思った。


「今、報道部の活動としては、2週間に1回の新聞作成が主なものね。発行部数は、100部いかないくらい。何か重大な事件が起きたときは、号外も出すことがあるわ」

「100部って。それで部活やっていけるんですか?」

「正直、赤字ね。でも、ウィバーがもぎ取ってきた号外を含めると、そんなに極端に赤字ってわけじゃないわ。」


 私は、経済方面には詳しくないのだが、そういうものらしい。ごく、小規模な部活のようだ。

「あれ……?でも、マナツさんが立ち上げた当初は、もっと大規模な部活だったって聞きましたが……」

「うしょいあすっ!」

 セロン先輩の説明を聞いていたらしいウィバー先輩が、奇妙な声を上げる。またダメージを受けているようだ。


「一応、マナツさんが部長だったときは、人も居たのよ。でも、ウィバーが部長になったら……その……付いてくる人がどんどん少なくなっちゃって……」

 言いにくそうに、セロン先輩がそう告げる。なるほど、マナツさん効果が切れたのと、ウィバー先輩の暴君っぷりが問題だったようだ。


「酷い酷い酷い!!そんなに私のこと、『人望がない』とか言うことないじゃないっ!私だって頑張ってるのにい!」

 ウィバー先輩はそう言うが、実際、人が辞めて、部員数5人ということは、そういうことなのだろう。


「でも、新聞のネタのクオリティを維持していれば、こんなことにはならなかったのよ?」

「私は真面目にやってますう!真面目にやってこれですう!」

「ウィバーの書く記事は、中身がないのよ。記事自体を過激にしても……もっと、読者を惹きつける記事を書かないと……取材と称して、カフェでさぼってばかりいるからよ?あなたは外回り中の営業職みたいになってるじゃない」

「取材には行ってますう!あー、痛くない!あなたの口撃、全然私には刺さらないもんねえ!」


 ……なんだ、この会話。

 どうやら、ウィバー先輩とセロン先輩は、「悪い子良い子」の関係らしい。船頭多くて船、山に登るというが、まさにその状態だ。

 でも……


「あの。セロン先輩の方が、ウィバー先輩より1つ学年が上ですよね?どうしてセロン先輩が部長じゃないんですか?」

「それは……」

 セロン先輩が言いよどむ。すると、ウィバー先輩は嬉々として、

「私が立候補したからに決まってるでしょお!さらに、くじ引きで決めたら、こうなったのよお!」

 と、答えてみせた。

「くじ引きって……一体誰がそんなルールで……」

「マナツ先輩い」

「あー……」

 やる。あの人は、そういうところある。


「ともかくっ!ロロさんには明日からバリバリ働いて貰うからねえ!ケータイ端末、持ってるう?」

「あ、はい。持ってます」


 ということで、私は、全員分の端末番号を交換した。


「連絡があったら、授業抜けてでも駆けつけてねえ!」

「ちょっと、ウィバー……」

「うちは公言してるブラック部活だものお!そういうものだと諦めなさい!」

「……いい加減にしなさい」


 セロン先輩は、ウィバー先輩の頭をぱかんと叩いた。

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