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少女ロロの事件記録手帳  作者: 烏丸牙鳥
愛の殺人
18/42

いざ、報道部入部!

――「さあ、洗いざらい白状してもらいますよお」

 そう、目の前の赤毛の女の子は言った。姿形は少女なのに、私は、心の底からぞっとした。

 そして、今にも蛇に飛びかかられるカエルのように、指先一本すら動くことができない。


「ちょっとウィバー、だめですよ、そんな脅すようなこと言ったら」

 そこで、桃色の髪の子が、口を挟む。天使!助かった!と、私は思った。

「脅してなんかないわあ!あ~!セロンの良い子ぶりっこがまた出たあ!」

 と、ウィバー先輩は言う。この桃色の髪の少女は、セロンという名前らしい。


「そういうのじゃなくて……一応、報道部の部長で、上級生なんだから、それなりの行動を模範として示さないと……」

「あー、はいはい。わかりましたよお。マナツ先輩の作った新聞部が云々って言いたいんでしょお?セロン、マナツ先輩のことめちゃくちゃ好きだもんねえ」

「わ、私は……!」

 そこで、セロン先輩が顔を赤らめる。……なんか、ちょっとむっとしてしまった。一応、助けてくれるみたいだけど、私は意外と嫉妬深いらしい。マナツさんと何かあったのか!?と問いただしたくなる。


「はいはいはいはい、わかりました。じゃあ、結論から先に言うわねえ。ロロさん、あなた、報道部に興味ない?」

「は?」

 私は、間抜けな声をあげてしまった。今さっきの監視カメラハッキング写真を使えば、いくらでも新聞のネタにはなるだろう。それを、みすみす逃すというのか?

「例の鎧、報道部にとっては、すっごく必要なのよお。なにせ、ロロさんは、その鎧を着ると、無敵状態になるんでしょお?報道には、すっごくすっごく向いてると思わない?」


 ……私は、考える。こういう場合、どうしたら良いのだろう。どう行動すれば、正解に近いのだろう。

「事件現場に潜り込んで、新鮮なネタの記事を書く!これで、ロロさんは大活躍できると思うんだけどお?どう?」


 そして、ウィバー先輩は、ゆっくりと、噛んで含めるように言葉を紡ぐ。

「うちの、報道部の、部員にならない?」


 そして、例のハッキング写真をぴらぴらと指先でつまんで振ってみせる。

「報道部の部員になれば、この写真のことは水に流す。私たちは、何も知らなかったことにするう。それに、マナツ先輩の立ち上げた報道部に入るっていうのも、なかなか悪くないと思うけどお?」

 ……この追い詰め方、ヤクザの手口じゃないですか。


「ご、ごめんね、ロロさん。もし、嫌なら嫌って言っても、私が責任持って写真と元画像は処分するから、大丈夫よ?」

 セロン先輩が、そうフォローする。と、ウィバー先輩は、むっとした顔で言った。

「何言ってるのよお!こんな千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないでしょお!」

「でも、こんなやり方、間違ってるわ」

「セロン、あなた副部長でしょお!?新入生の勧誘も立派な仕事だと思うんだけどお!ただでさえうちは人数少なくてカツカツだっていうのにい!」

「それは、ウィバーの人望がなかったからでしょ」

「……!!……!!」


 ウィバー先輩は、セロン先輩に痛いところを突かれたのか、言葉にならない声を出した。


 しかし、私の答えは、もう決まっていた。


「……私、入ります」

「お?」

「え?」

 ウィバー先輩と、セロン先輩の声が重複する。私は、一度深呼吸をして、肺一杯に空気を送り込むと、もう一度言った。

「私、報道部に、入部します」



「やったあああああああああああ!!」

 ウィバー先輩は、ガタンと椅子を蹴り飛ばして立ち上がると、両腕を大きく天井へと突きだした。

 セロン先輩は、「え?え?」と、オロオロしている。


「大丈夫?良いのよ、先輩の命令だからって聞かなくても」

 セロン先輩が、私に駆け寄って、腕を回してさすってくる。なんだか、子供をあやす母親のようだ。

「いやいやいや。言質げんち取ったし、これで部員一人獲得ね!しかも、無敵状態付き!これは、報道部の歴史を揺るがすわよお……!」

 ウィバー先輩は、上機嫌だ。私は、正直に言うと……嬉しかったのだ。こんなに、人に必要だと言って貰えて、嬉しかった。だから、入部しようと決めたのだった。


「これから、よろしくお願いします」

 そう、先輩たちに頭を下げる。すると。


「ロロ!入部おめでとう!」

 と、元気な声が斜め後ろから聞こえた。そちらに目を向けると、瓶底眼鏡に三つ編みのおさげという、いかにも「勉強できます」という風貌の女子が、いた。デスクに突っ伏していたうちのもう一人らしい。

「よかったね、ウィバー。これで我々の後輩ができたってことね!」

 ぱちぱちと拍手をしながら、その人はそう言う。それにつられて、横のオーク族の少年も、ぱちぱちと拍手をしてみせる。


「あらー……そんなに簡単に決めちゃって。でも、後輩が増えるのは嬉しいわ。ロロさん、よろしくね」

 と、セロン先輩が、今度はにこにこと笑って私を見つめる。……距離が近い。ちょっと照れる。

「ふっふっふ、『人望がない』とか『暴走列車』とか『やり口がヤクザ』とか、これまで散々な言い方をされてきたけど、ついに新入生獲得してみせたわあ!」

 ウィバー先輩が、そう、得意げに言う。……あんた、自覚あったのか。出会ってから1日足らずだけど、私は、なんとなく、ウィバー先輩のキャラクターは読めた気がしていた。

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