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少女ロロの事件記録手帳  作者: 烏丸牙鳥
愛の殺人
16/42

取材対象

「も~っ!ロロちゃん、昨日帰ってこなかった~!」

 登校中、キジャモがプンプン怒りながら言う。私は、「ご、ごめん。でも、寮長から連絡行ったでしょ?」ととりなす。

「来たけどさ。寂しいから、シャンテちゃんに泊まって貰って、昨日は盛り上がったんだよー。ロロちゃんもいれば良かったのに」

 キジャモは、よほど楽しかったのか、にへら、と笑う。


「ふーん。盛り上がったって、トランプとか?人生ゲームとか?」

 と、私が聞くと、キジャモはにっこり笑って、

「麻雀」

 と、ものすごいところをぶっ込んできた。

「おかげでちょっと寝不足なんだよねえ」

 キジャモが、ふああとあくびをしながら言う。徹夜麻雀ってやつか……。女子学生がなかなかやることではないと思う。


「シャンテちゃんは3限から登校で、私だけ早起きだしさ~」

 ずるいよ~、と、キジャモがぼやく。

「あはは……え、じゃあ、私たちの部屋、今シャンテが使ってるの?」

 私が聞くと、キジャモは「うん!」と返事をした。

「……キジャモとシャンテが使ったのかあ……」

 キジャモとシャンテは、基本的に「掃除」というものをしない。私は、人並み程度には片付けるのだが、この2人は何故かかたくなに掃除を拒むのだ。

 故に、今、部屋がどうなっているかが心配になった。どうせ、片付けるのは私だ。


「あ!そういえば、通り魔が捕まったって知ってる?」

 キジャモがそう言うので、私は、「え?」と間抜けな声を出した。マナツさんと私は、あの後すぐにラブホに行ったので、特に通報したりはしなかったのだが。

「なんかねー、それでゴタゴタして大変みたいだよ?その通り魔っていうのが、ハーフエルフだったからさあ」

 なるほど。マナツさんの種族であるハーフエルフだが、ハーフという特性上、昔は差別などがあったらしいと聞いている。なまじ、エルフやハイエルフよりも優秀な人材が出やすいので、余計に差別が酷くなったのだろう。ハイエルフは特に、プライドが高いので、今でも蔑称である「半人」と呼ぶ人もいる。


 でも……。

「あれは通り魔、じゃなかったの?ふーん……」

 私は呟いた。じゃあ、野良怪人だったのだろうか?


 学園に着いて、教室に行くと、リア充軍団の外側にいたコキアと目が合った。

「……おはよう、ロロさん、キジャモさん」

 そう、おずおずと言われ、私も「おはよう」と返す。体操着の件も、私は別に怒ってはいないので、別に良い。

 ただ、その視線を追ったブエルからは、「ふんっ」とそっぽを向かれてしまう。……どうやら、彼女に対しては完全に敵対されてしまったようだ。さらに、「あんたも挨拶してんじゃないわよ」と、コキアをにらむので、コキアは「あ、ご、ごめんね、ブエルさん」と萎縮している。


「ロロちゃん、気にしない方が良いよ」

 そう、キジャモが席に鞄を置きながら言う。……いや、私は別に気にしていないけど。

「むしろ、コキアの方が色々と……大変そうだよね」

 と、私は正直な感想を述べたのだが、キジャモは

「?そうかな?」

 と、きょとんとしている。誰がどう見たって、あれでは女王様と召使いの関係である。


 それにしても、と、私は思う。

 制服のスカートが……緩い。入学時に買ったばかりのスカートなのだが、既に指が4本は入る緩さになっている。

 元々、私はボトムスは緩めにしているのだが、それにしてもこれは緩すぎる。

 今までと改善したことといえば、マナツさんとのセックスである。「セックスはスポーツ」という話もあるらしいが、確かにセックスをするとお腹周りに余裕ができる気がする。


 と、そこに――。


「こんにちは~!ロロさんいらっしゃいますかあ?」

 と、見慣れない上級生が訪ねてきた。

 何か、アニメの中の制服らしい、黒のセーラー服を着ている。赤毛の髪をボブカットにしてあり、ぴょこんと一部だけをくくっている。


「報道部の取材なんですけどお、ちょっといいですかあ?」

 そう言われ、私は身に覚えがありすぎて、どれがバレたのかと体をこわばらせた。

「け、結構です……何のことかわかりませんが、私、何もしていないので……」

 と、私が告げると、相手はにやりと笑い、

「ふふ~ん。身に覚えありまくりって顔してますねえ」

 と品定めするようにジロジロと見られる。


「あ、申し遅れました。私、3年のウィバーと言いますう!この間のブラック・ドッグの件でお話があるのですがあ!」

 ……あの件か。


「あと、この都市トップの成績と強さを誇る、マナツ先輩があなたを見込んでいるという噂も聞きましてねえ!是非是非、お話をお伺いしたいのですがあ!」

 ……この人、結構押しが強そうだ。負けそう。


「どうしてもお話できないというのなら、私が勝手に推測した件を勝手に乗せちゃいますけどお!」

「わ、わかりました、私がお話できる範囲でお答えします……」

 押し負けてしまった。でも、キジャモやシャンテ、それからマナツさんに迷惑をかけるわけにはいかない。


 ウィバー先輩は、にっこりと笑う。

「取材にご協力、ありがとうございますう。では、放課後、部活棟2階の報道部部室でお待ちしてますう!」

 一応、説明するが、学園では、運動部はグラウンドとコート、文化部は文化棟、通称「部活棟」と呼ばれる専用の校舎があるのだ。それもこれも、文化部は一番メジャーだと科学部などが危険な実験などを行うために、この部室を利用しているのだ。授業の際には、科学室・美術室・工作室などを開放しているものの、未だにこの校舎を「部活棟」と呼ぶ人も多い。


 しかし、マナツさんの立ち上げた「新聞部」が「報道部(そっちの方が響きがかっこいいからで、実質は新聞部である)」に代わり、しかも、マナツさんのことで取材対象になるとは。マナツさん、ちょっと恨みます!と、思ってしまった私だった。

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