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あマゾねすっ!  作者: 月見
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第6話「私たちのアイデンティティとかその辺のものがブチ壊れそう」


 期末考査が終わり、わたしは生徒会室で返されたテストを眺めていた。


「聖奈? テストの答案を何度見ても点数は変わらないわよ?」

「別に点数を気にしてるわけじゃないけど……単純に間違えたところ見直してるだけ」

「マメね。よく考えたら私はそういうことやったことなかったわね」

「……天音は基本満点しか出さないもんね」

「あら、よくわかったわね」

「うん、とりあえずその発言は煽りにしか聞こえないからやめようね?」


 そんな会話をしていると、生徒会室の扉が開かれる。


「「「聖奈様ー!! 助けてくださいー!!」」」


 いつも生徒会室で聞こえる声とは違う声が聞こえていた。


「え? あぁ、君らは……えっと……ごめん、名前なんだっけ?」

「私は1年の川島(かわしま) 愛奈(まな)です! 特徴は巻き髪ロングよ!」

「同じ1年の倉木(くらき) 美夏(みか)です! 特徴はツインテです!」

「同じく1年の西城(さいじょう) 柚菜(ゆな)。特徴はサイドテール!」

「うん? 前に同じ自己紹介を聞いた気がするぞ?」

「だって作者コピペしてきたもの」

「またお前はメタいことを……まあそれはそれとして、どうしたの?」


 愉快な三人組はどうやら焦っているようにも見えたけど。


「そうです! 聖奈様、私たちに勉強を教えてくれませんか!?」

「え、なんで?」

「実は私たち、この前の期末考査でほぼ全部赤点を取って追試を行わなければならないんです!」

「それでその追試に合格しなければ夏休みが全部飛んでしまいます……」


 この学校ってそう言うシステムだったのか……。


「普段から勉強とかしてれば赤点とかはあんまりとらないと思うんだけど」

「それはあれですよ。授業中に聖奈様のことを考えてたら終わってますし」

「私は気づいたら寝てますね。聖奈様の夢見てます」

「なんかわたし悪いみたいになってない? それ」

「とにかく、夏休みは勉強なんてしたくないんですよ」

「夏休みの宿題とか……いや、いいや……」


 といってもわたしもそこまで勉強教えられるほどでもないし……。

 ふと天音と目が合う。

 そして笑顔で返された。


「まあ、勉強と言ったら天音だよねぇ」

「えぇ……とんでもなく嫌なんですけど」

「おぉ、メンタル攻撃をしてくるなんて成長したわね」

「少なくともこの人にだけは教わりたくないです。なんかこの人に教わったら私たちのアイデンティティとかその辺のものがブチ壊れそうなので」

「そうなると飛鳥先輩か御門くんとかかな」


 ただ、飛鳥先輩はあんまりお勧めしたくないんだけど……。


「御門……あの人は何考えてるかわからないから苦手です」

「そのお姉さん……生徒会長も何かやばめな雰囲気を感じるのでちょっと近づくの躊躇するんですよね」


 この子ら案外鼻利くんだ。

 しかしその二人もダメとなると紅谷先輩とかになるけど……。

 ダメだ。

 どう考えても筋肉とか熱弁しそうなイメージが拭えない。

 そんな風に考えがまとまらないでいると、生徒会室の扉がまた開く。

 入ってきた人物は御門くんと楠くん……だったかな?


「あ! 天音さん! 今日もいい天気ですね!」

「今日はめっちゃ曇り空よ? それより御門くんと一緒にいるなんて珍しいわね」

「え? 知らないの? こいつらめっちゃ仲いいのよ?」

「そうだったんだ……知らなかった」

「あ、聖奈様は知らなくても無理ないですよ。1年の教室に来ることなんてめったにないんですから」

「それは私もなのだけど??」

「ちなみに私たち全員同じクラスよ」

「いろいろと初耳すぎる」

「ところで楠くんは何で生徒会室に?」


 このままだと話に収集がつかないような気がしたため、話を切りかえる。


「ええ、生徒会に入るために生徒会の仕事を覚えようと思って」

「生徒会に入るって……でも生徒会に入ったら学力の維持とかも大変になるけど、その辺は大丈夫?」

「大丈夫ですよ。どうやら純は期末の点数がほぼ満点に近かったらしいので」

「マジか……そりゃすごい」

「うそでしょ!? なんであんたが!?」

「天音さんのことを考えて、どうやったらこき使ってもらえるかを考えたら、生徒会に入るのが手っ取り早いと思って授業をちゃんと聞いたらめっちゃ頭に入ってきた感じだけど」


 やってることはいいことのはずなのに目的が不純すぎる……。

 うん?


「これさ、楠くんに勉強教えてもらえばいいんじゃない?」

「え、それ本気ですか?」

「私たちがよくてもこいつがいいというわけなくないですか?」

「あぁ、そう言えばいろいろあったもんね」


 普通に考えたら楠くんが嫌がるから成立しないか。


「純くんだっけ? こんなチャンスめったにないわよ! 勉強を教えることによって自分自身(いじめられるかもしれないというメンタルダメージを受ける快感を得れるような)成長もできるわよ!」

「はっ! 天音さんが期待してくれている! やります!」


 うん、絶対話がかみ合ってないな。


「そう言われても私たちは……」

「まあ、やってくれてるって言ってるんだから、少し教わってみればいいんじゃないかな? 大丈夫だよ。きっとうまくいくって」


 そう言って少女三人組の頭を順番にポンポンと叩く。


「「「や、やります! 満点を取る勢いで!!」」」


 その後、すごくやる気になった三人組に楠くんが勉強を教えるのであった。

 そして追試はかなり高得点で突破したらしいです。


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