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亜美の章2

 亜美は、いつもならすでに来ている店長こと今度正式に義理の兄になる和生かずおが、まだ来ていないことを心配していた。

 和生はとても温厚で、そして時間にもきちんとしていたので、いつもくる時刻にこないことは、何かあったのかと心配になったのだ。

 すると、タクシーが止まり、和生が出てくると足早に入ってくる。


「亜美ちゃん、ごめんよ。遅くなりました」

「良いですよ。店長」


 すぐにスタッフルームに消えた和生は、着替えて出てくる。

 そして、亜美の元に近づくと、


「本当にごめんね。帰ったら分かると思うんだけど、奏音かのんちゃんの母親が、家に包丁を持ってやってきて、紗絵さえが怪我をしたんだ。本当は紗絵が迎えにきてくれるはずだったんだけど、出血が酷くて、救急車で運ばれたんだ。母さんが紗絵と救急車で行ったから、悪いんだけど、父さんが亜美ちゃんを心配してる。気をつけて帰ってくれるかな?」

「えっ? 紗絵が?」

「奏音ちゃんを取り戻すんだと言っていたらしい。奏音ちゃんのせいじゃない。だから……」

「分かってますよ。奏音ちゃんは紗絵も言っていたんです。私達の妹だって。妹を守るのが姉だけど、紗絵大丈夫でしょうか……」

「亜美ちゃん。先に帰ってくれるかな? 父さんが心配してるからね」


頭を撫でる。

 自分の娘と同じ歳の義妹を可愛がっている和生は、


「父さんと、後で帰ってくる紗絵や母さんをよろしくね?」

「あ、あの……お、お兄さん。美代姉さんは大丈夫ですか?」

「美代子は奏音ちゃんの付き添いだよ。まだ子供だからね。小児病棟にいるんだ」

「じゃぁ、今日はこの時間ですから、明日、私は夜勤ですから、交代しに行きますね。着替えも持って行けなかったでしょうし……」

「本当にごめんね……私達は君に頼ってばかりだ……」


本当は甘やかして、可愛がりたいのにと呟く義兄に、亜美はクスクス笑う。


「一杯可愛がってくれてるのに……お父さんもお母さんも、お兄さんも、美代子姉さんも、紗絵も……それに、奏音ちゃんは妹です。嬉しいです」

「そう言ってもらって嬉しいよ。あぁ、亜美ちゃん。気をつけて帰るんだよ?」

「ハイ」


 引き継ぎをして着替えをした亜美は、愛車の中型バイクに乗ると家に帰って行ったのだった。

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