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かのんの章2

 翌日、奏音かのんは目を覚ますと体がだるく、ゴホゴホと咳をした。


「奏音ちゃん! 大丈夫?」


 紗絵さえは額を押さえると、


「熱がある。亜美。体温計持ってきて」


亜美が差し出した体温計で熱を測ると、38度を超えていた。

 しかし、熱の為か、それとも今まで一人で耐えてきた為か、潤んだ目で、


「ご、ごめんなさい。紗絵さえお姉ちゃん……亜美お姉ちゃん……移っちゃう。大丈夫だから……」

「大丈夫だよ。ちょっと待ってて」


紗絵は氷枕などを準備し、亜美はパジャマを変える手伝いをする。

 そうすると、おかゆを持ってきた美代子とその後ろから、洗面器とタオルを持ってくるのは……。


「店長さん」

「おはよう。奏音ちゃん。大丈夫かな?」

「だ、大丈夫です……起きます」

「お父さん、起こして支えてあげて」

「あ、あぁ」


 起こして、上着をかけてもらうと、


「はい。おかゆを食べようかね? 奏音ちゃん」

「あ、自分で……」

「ダメダメ。熱いのをそのまま食べたら火傷するよ」


と夫婦は甲斐甲斐しく世話を焼く。


「あ、そうだ。紗絵。シャーベットが冷凍庫にあるから、持っておいで」


 父である和生かずおの言葉に、部屋を出た紗絵は大袋を持ってくる。


「お父さん、どれ? 沢山あるよ?」

「奏音ちゃん、どれがいいかな? 熱が出たなら、少し口にしておくといいよ」

「えっと、レモン、グレープフルーツ、グレープ、りんご、ミカン……」

「あ、甘いの! も、もしよければグレープ……」


 初めて自分の意思を伝えた少女に、4人は微笑むと、


「じゃぁ、食べようか」

「食べられなくても、後で良いからね」

「そうそう」


と微笑んだのだった。

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