エルフに会ったよ~~。
前回、オークになってしまった田中くん
このままどうなっちゃうの!!!????
あれから、俺は自分がこの醜い姿になってしまったという事実を受け止めきれず、放心状態で何日も森の中を彷徨い続けた。
もう何日も何も口にしていない。そして、歩けど歩けども一向に森から抜け出せなかったのである。
「もう、疲れた。限界だ」
俺はすべてを諦め、大木の根元で横になっていた。
「もう、俺死んじゃってもいいかな~」
こんな森の中で、いきなりオークされて放置されるし、誰も見つからないから助けも呼べない。もうどうとでもなれとやけくそになった俺は目を閉じ、うたた寝をしかけてしまった。
そのとき、ヒューンという空気を切り裂くような音とともに、何かが俺の耳もとをかすめた。その物体が通過していた方向に顔を向けるとそこには、木に刺さった矢があった。
え?????俺、殺されるの?????
「まずい、オークに気づかれたぞ。逃げられる前に絶対に仕留めろ」
張りのある女の声が、森全体にこだまして響き渡る。馬の蹄の音がこっちに向かって近づいてくる。少なくとも、数が10はありそうなくらいの馬の大群がこっちに近づいてきているのがわかる。
やばい、早く逃げないと俺の命がない。
俺は森を歩き回ったせいで残り少ない体力を振り絞り全力で駆け出した。
さっきまで死んでもいいとか、思ってたけど、こんな死に方はやだよぉ~~~。
すぐ後ろを振り変えると馬に乗った人影の集団がすぐそこまで近づいていた。
馬に乗っている集団は人間のようだったが、やや耳が尖っているように見えた。
あれってもしかしてアニメとかゲームとかで見る森の民、エルフってやつ??
俺は木の根をよけながら走っていた。自分の走るすぐ横を放たれた矢が高速で通り過ぎていく。
あっ!!!!!
首元に命中しそうだった矢を、自分でもびっくりするほど華麗に避ける。
だが、次の瞬間に起きたことは信じられなかった。
避けたはずの矢が軌道の先を再び自分の首元に戻して、向かってきたのだ。さすがに、今度の矢は避けられるはずもなく、首筋に突き刺さってしまった。
………………痛い。
意識が霞んでくる。どうやら、矢の先には麻酔薬が塗られていたようだ。
あっという間にエルフの集団に追いつかれ、四方を囲まれてしまう。
「こいつを捕らえろ」
馬から降りてきたエルフたちに俺は縄で縛られ、あっという間に身動きがとれなくなってしまった。にしても、さっきの不可解な軌道を描く矢は何であったのだろうか………。
「単独行動なんて間抜けだぜ、こいつ」
女のエルフが言った。こいつ、エルフのくせして、めちゃめちゃ香水くさいぞ。
ん?どっかで嗅いだことがあるぞ。そう思っていると、
「早く、こいつを街まで連れてくぞ」
次の瞬間、女エルフの右ストレートが俺の眉間に飛んできて、俺はむなしくも即座に脳震盪を起こして気を失ってしまった。
あわわわわわわわぁぁっぁあぁぁ
エルフに捕まっちゃったよぉ~~~。
絶体絶命、大ピンチの田中くん!!!