館の主人の謎 ④
私は魔法を……。
ひっ……!
改めてみると超コワイ! 正体がわかってるからなんだけど幽霊だから超怖いんですけどーー!?
「ミキ様!」
目の前に飛んできたナイフをジャンヌが石を投げて跳ね返してくれた。
し、死ぬかと思った。幽霊を改めてみると腰が引けた……。だって、正体がばれたから正体現したみたいだけど超コワイ! 怨霊って感じしかしないよ!?
だ、だけど殺されたくないし……! うううう! 必死に恐怖に抗うしかないのか……!
「くうううう! ”精霊魔法 火”!」
太陽のように熱を一定に込めた火の玉を放つ。
『ふっ、その程度の弱小な火の玉か! 効かぬわ……あぢいいいいい!』
「ま、まだまだ! 浄化の輝き!」
『光属性……! まさか、それは……!』
「あ、アンデッドやご、ゴーストように……開発しておいた……。こ、こんなときもあろうかとね……」
嘘っぱちです。やってみようかと今やりました。
『き、貴様! 何者だ! 人間如きの弱小な魔法なんぞゴーストの我に効くはずが……!』
「ミキ様を人間と一緒にするな! ミキ様は精霊王様だ!」
『なっ……! なぜ精霊王ともあろう奴がこの館に……! お、己ええええ!』
と、消えていった。
こ、怖かったぁ……。あっけなかったけど、こ、これで、浄化はお、終わったんだ。
私はその場に座り込む。
いや、猫だから足の力を抜いて地面に寝そべる形だけど。
「終わった……」
「終わったんですね」
ジャンヌと私が一息ついているときだった。
『ありがとう』
どこからかその声が聞こえたのだった。
上からだった。上を見上げてみると先ほどとは違う、青白い幽霊。その幽霊は入ったときに呪いをかけたあの幽霊の姿だった。
『私はこの館の主だったシュバイン。かつてあの暗殺者に殺されてしまった男だ。まずはあの男を倒してくれて礼を言う』
……も、もう、無理。
《この者に精霊の祝福を行いますか? はい/いいえ》
えっ、もうどうでもいいや。はい。
そして、私は気を失った。
『む、なぜだか急に力が湧いてきた……!』
私の目の前で言うのは幽霊館の主人だった男。
真っ白い体。見た感じでも幽霊とわかるほどだ。ふむ、取りつかれていけないことをしてもいいな……。薄い本展開になっても逆に興奮するな。
『そうか……精霊王の祝福。冥福を祈ってくれたのだな。精霊王様』
「あ、ミキ様は!?」
ミキ様は気を失っておられるーーーー!?
「ミキ様ぁぁぁぁ!」
『どうしたのだ?』
「あまりの恐怖で気を失ったらしいです!」
『ふむ……それはすまなかったな。では、私はお礼を渡して成仏するとしようか。本来は恨みつらみを抱えず極楽浄土へ行くのが幽霊の在り方なのだがな』
《スキル霊体化を取得しました》
『そのスキルは一時間ほど我と同じ霊体になることができる。一度使用すると一日ほど使えなくなる謎があるがそこは受け入れてくれ。精霊王様にも渡しておいたから説明しておいてくれ。ではさらば』
と、目の前の幽霊は消えていった。
れ、霊体化……。使い方によってはいい使い方ができそうだ。
やっと呪いの館が終わった……!