館の主人の謎 ②
黒く変色している皿とスプーン。
この材質はもしかしなくても……。
「銀……?」
銀というのは暗殺を阻止するために貴族が使用していた。銀は毒物で変色すると言われていた。それもそうだろう。毒物に含まれる硫黄成分が銀を変色させているから。中世では「銀は毒物を見分ける神秘的な力をもっている」といったほどだ。
銀を火であぶったとも思えるけどそれはなんのためにするのだろう。
だから毒で間違いない。
「この屋敷で誰かが誰かを殺そうとしていた……?」
毒物が盛られていることを考えるにそう考えるのが妥当だろう。
いや、すでに死体はあるかもしれない。全年齢対象だから死体は出ないのだろうけど。だけど、これってなあ。サスペンス、だよなあ。
「もしかしてあの幽霊の正体って……」
思い出したくもないけど考えてみる。
誰かと一緒ならちょっと心強い。ジャンヌの頭の上にのって考える。
「あの幽霊の正体は……殺されたこの館の、人……?」
私はあらかじめ手渡されていたこの館の秘密を読んでみる。ジャンヌと一緒に。
その一から……。
『この館の秘密と書いているが日記、ということだ。
これを見つけたら私はとっくに殺されているということだろう。だから、これを四巻に分けて隠し見つけた人にわが無念をはらしてもらいたい』
冒頭に書いてあったのはこれだ。
『私は死んでも死にきれない。だからゴーストとなるだろう。けれど、モンスターは人に攻撃しなければ存在できなくなってしまう脆い存在だ。だから、私がゴーストとなれば呪いをかけさせてもらうことになるだろう』
これは決定打だった。
不確定から確定に変わった瞬間。あのときあった幽霊はこの屋敷の主人だって言うことに。
『ひどいことをいうものだが私が殺された恨み辛み。死にゆくことで白紙に戻るわけがない。これを見つけた者は恨みを晴らしてくれまいか。何十年後、何百年後でも私の恨みは続く』
と、そこで切れていた。
うーん。微妙なところで切るなあ。この人。
さて、まあ、その二、以外は読んでみることにしよ……。
うん? 待てよ。
そういえば、この本を隠したのは殺した人に見つかることを防ぐため。そして恨みを晴らしてほしいとのことでいずれかは見つけてもらいたかったもののはずだ。
私たちががむしゃらに探して見つかるとは思えない。ヒント、ヒントがあったんだ。
いや、ヒントというより答えに近い。
「今すぐジャンヌが運ばれた部屋にいこう!」
気づいてしまった。
気づかせるためにはどうしたらいいのかを。なぜ部屋まで運ぶ? なぜ別々にする?
いや、本人も長年経って忘れているっていうこともあるだろうけれど、すべて客室に隠されていたらしい。なら、主人は、わざと客室に運んだんだ。
そこらへんに隠した……ということだけを覚えておいて。
多分、近くにあったのだ。
この本が。
この本に気づかせるために私たちを運んだんじゃないか?
私たちに恨みを聞かせそれをはらしてもらおうとして。
だから、私たちは客室でしか目覚めなかった。それも違う階層で。
気を失う前に聞こえた言葉。殺す気はない。
自分を殺した人と同じことをしたくないということだとしたら……。
「ああ、もう!」
「ミキ様どうなされましたか!?」
「怖いけど……テンションが再び上がってきた……!」
コナンが好きそうな展開ですね。
”呪いの館殺人事件 前編”とか。