呪いの館 ⑦
嫌なものをシャットアウト、私も人生ドロップアウト。野球空振りワンアウト。韻踏むの難しいな。ラップは私出来ないってことが分かった。
すべてをルルークに任せ、猫の姿でだらけ切る。
ああ、誰かに委ねるのも楽でいいなあ。
「ミキ。起きて。みんな来るよ」
「ん? ああ、終わったの?」
どうやら眠っていたようだ。
ゲームだから寝たあとのけだるさとかはないけれどゲームで寝れるというのも不思議なものだ。そこまでリアルに再現する必要があるか?
究極っていうスタンスだからそこも徹底するべきなのかもしれないけど。でも科学技術ってすごいなー。
「あ、エルルゥ。どうだった? なにか発見あった?」
「特にないね。私たちは地下を探索していたけど特に何もなかったと思う」
「そう?」
ふっ、私は学んだ。声だけ聴くとエルルゥなのだから直視しなければいいと。
「次はチリンとマシュマロだね」
「お姉さまぁぁぁぁ!」
「にゃうん!?」
犬の姿のままとびかかってきた。
犬の品種はゴールデンレトリーバー。大型犬か中型犬かわからないけど私よりでかいのは事実で、そのデカいものが急に接近する恐怖わかる?
「私たちはこういうものを見つけてきたぞ」
と差し出してきたのは館の秘密と書かれたもの。
「中身は読んだのか?」
「いんや。お楽しみにしようと思って」
えっ、それって……
「チリン。それボクたちも見つけてるんだ」
そうだ。私たちも見つけていた。館の秘密その三を。これ一とかないのならこれがたぶん一なんだろうけど……。ということは、二がないのかな?
「え? マジで? じゃあ、複数本あるのかな?」
「あるね。何巻あるのかわかんないけどね」
「戻ってきました~」
「お姉ちゃんっ!」
今度はうぉたぁが私を抱き上げた。
「ユキショウグンくん。なにか見つけたものあるかな?」
「見つけたものですか? そういえばこれ見つけました。館の秘密その四(終)って書いてるんであと三巻残ってると思いますが」
……えっ、今なんて?
「その四!?」
「え、ええ。その四です」
今手元にあるのは一と三と四。
つまり、一冊足りない……?
私たちが一階担当でサンたちが二階、ユキショウグンが三階でチリンが四階担当だったはず。
一階に一つずつあるとしたら、サンとエルルゥが何か見落としている可能性が高い。あくまで予想だけどね。
「二階へいこう! 多分そこのどこかにある!」
「うわ、さっきまで幽霊怖いって言ってたのに元気だ」
「呪いって性格まで変えるんすかね……」
ここから早く出たいためだよ! 今もめっちゃくちゃ怖いよ! 多分これはテンションなんだろうな! 早くここからでたい!
私は飛行スキルで急いで二階へと向かった。