呪いの館 ④ 美鈴視点
目が覚めると私は部屋にいた。、
どこの部屋かはわからないけど屋敷の部屋だろう。ふむふむ。周りにお姉ちゃんとかはいない。つまり一人なのか。
お姉ちゃんいないのは悲しいけどあのにっくき自称舎弟がいない分まだましかな。
さて、早くお姉ちゃん見つけ出して……って、体がうまく動かないや。どういう状況なんだろう。とりあえずステータスを見てみよう。
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呪い:片手拘束
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なるほど。片手が使えないというわけか。すごいハンデだ。
まあいいさ。お姉ちゃんを探しに……。
ドアを開けると、犬がいた。
……犬?
「……首輪ついてないし野良か。しっし。あっちいけ」
「あっち行けとはなんだ!」
「……この声は」
あのにっくき自称舎弟の声だぁ……!
ちっ。会いたくもないやつに会っちまった。
だけど、まぁ……
「犬になったんですねえ。じゃあ、ポチって命名してあげますよ。ねー、ぽ、ち?」
「ポチって呼ぶな。お前覚えてろよ……!」
「忘れるまで覚えておきますよポチ~」
ふはははは! 犬になって残念だったなあ!
「ポチ。匂いでお姉さまを見つけろ」
「ちっ」
「ほら~、人間様に舌打ちしなぁ~い。ポチはいつから私より立場が偉くなったのかなぁ?」
気分がいい!
この自称舎弟の名前なんて覚える気もなかったのでポチと呼んでこき使ってやってるがこれほど便利だとは! 人探しや物探しには頼みたいね!
腐っても人間だから聞き分けがいいさ!
「……こっちだよ」
嫌々でもその案内してくれる忠誠心は評価できるね。
犬だから忠誠心が高いんだろう。これが猫なら困ったもんだよ。猫なんて孤高を好むし私の苦手な動物のひとつだからね。
なん、だと……?
お姉ちゃんと合流できたはいいけど……。
「お姉ちゃんがまさかの猫ぉ!?」
予想外だった。
まさかお姉ちゃんが猫引いちゃうとは……。いや、ぶち模様の毛で凛々しい目つきとか可愛いし背中の模様がハートマークになっているのもチャームポイントだけどさ。普通の猫より数百倍可愛いけど、猫かぁ。苦手な動物を私にぶつけてくるかあ。神様は猫も愛せと告げているのかな?
「お姉さまは猫になられたのですね! 私と同じ動物です!」
ぐぬぬぅ……! 同じ動物になったという共通点がぁ……!
どや顔が腹立つ! あんにゃろういつか覚えてろよ……!
だけど、まあ。人間にしかできないこともあるのさ。
そう。
「よっと」
私はお姉ちゃんを持ち上げた。
「い、いきなりだっこするな!」
「ごめんごめん。お姉ちゃんが可愛くてつい」
そう。
人間はだっこできて愛でることができる。はたからみてもただ猫を可愛がっている美少女なのだ。
猫でもお姉ちゃんなら愛すことができる。たとえお姉ちゃんがカメムシになったとしてもそのカメムシを愛すことはできる。私のお姉ちゃんに対する愛は本物なんだ!
どんな姿になってもお姉ちゃんのことが好きだと言える!
「う、うぉたぁって猫好きだったっけ? どっちかと言えば嫌いじゃなかった?」
「猫は嫌いだけどお姉ちゃんなら別だよ?」
「……私も猫なんだけど」
「猫でもお姉ちゃんだからね」
だから問題ない!!
今度はアシュリーのテーマじゃなくてもりのようかんのBGMが頭に……!
荒れはトラウマなんだ! やめろ! ゲームで二度と行きたくないところにランキングインしてるんだ!