呪いの館 ③
光が灯る部屋には誰もいない。
というか、だれもいない? なぜ? 光が灯っている=プレイヤーがいると考えていたけれど違ったのか?
「私はここだ」
するとそこには半透明のエルルゥの姿が……!
「うわあああ騎士の怨霊!?」
「だれが怨霊だ! これは呪いのせいだ! 幽霊化っていう呪い! 物理攻撃ができなくなるとか私の存在意義がないぞ……」
ゆ、幽霊化……。
「……やっぱ幽霊は無理! ユキショウグン! 私を庇ってぇ!」
ユキショウグンに抱きついた。
「あ、そっちの女性はユキショウグンなのか。見たことがない女性だと思ったら……」
「呪いで性転換したらしいです。男性と女性の体ってやっぱ違うんすね」
「幽霊コワイ幽霊コワイ……」
「私の幽霊でもダメなんだな……。しょうがない。あまり目に入らないよう移動するよ。他のメンバーを探すんだろう。私も行く」
えっ。
他のメンバーも見つけることができた。
ルルークは防御力無効という呪い。普通の姿のまま。サンはHPとMP自然回復はしなくなる呪い。
そして、チリンはというと。
「……じろじろみないで」
「おぉー、チリンちゃん可愛いね。飴いるかな。あ、ここゲームだし飴ないや」
子供化という呪いにかかっていた。
チリン、エルルゥ、ユキショウグン、私が姿変化の呪い。
サン、ルルークは能力封じの呪いか……。
三分の二くらい姿変わっとるやんけ!
「それでこれからどうする? 私がこのようじゃ攻撃ができない。あいにく騎士は魔法をうてないんだ」
「…………」
「エルルゥ。ミキが怯えているよ」
「し、仕方ないだろ。好きで幽霊なんかになってない」
それはわかってるけど体が拒否反応を起こして……。あ、だめかも。チリン! 服の中に隠してくれえ! そのだぼだぼの服に私を隠すのだ!
私はすぐにチリンの服めがけて飛ぶ。しゅっと素早い動きで中に丸まった。
「……って、人全員揃ってないやんけ!!」
チリンが急に叫んだ。
「え……? 他に誰居たっけ」
「うぉたぁとマシュマロだよ! あの二人は見つかってない!」
……忘れてた。
いや、実の妹を忘れるなんて姉としてどうなんだ私よ。
「あの機械どもふたりが呪いなんかにかかるんかねえ」
「機械は物質だからな。呪いにはかからないんじゃないか?」
「そうかもな」
そうだといいんだけど、あの二人はとても心配だ。
だって、折り合いが悪すぎる。すぐに喧嘩してばかりだし二人で行動するとはまずありえない。だから単独行動してくるだろうし……。
美鈴大丈夫かなあ。あまり無茶してないといいんだけど。
美鈴って戦略家に見えて猪突猛進ガールだしなあ。
それは彼女の事ア・シュ・リーというフレーズしか思い浮かばない