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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
二人の結婚生活
853/856

悪魔の国

美鈴視点です。

後書きは美咲視点

 私は今縄で首を吊る前だ。全ての世の中に絶望し、この世を旅立つつもりだ。


「まっった自殺エンドかよぉぉ! なんなんだよぉ! やめてよぉ! 昔を思い出すよぉ!」


 私はコントローラーを投げた。

 私がやってるゲームは悪魔の国という、借金を返すゲームだ。

 借金を決められた日時まで返さなかったらバッドエンド、臓器を売られる。

 ただただ借金を返せたらグッドエンドで、主人公が虚無感に襲われ自殺エンド。

 そしてトゥルーエンドがあるらしい。


「トゥルーエンドってどうやんのこれぇ!?」


 保育園の先生である広瀬 美鈴は悩んでいた。

 どうあがいても自殺エンドになるのだ。私への当て付けだろうか?

 このゲーム会社何考えてんの? トゥルーエンドに行く道が見えない!


 その時、インターホンが鳴った。


「よーっす」

「来たか!」


 私の同級生である飯田(いいだ) 美緒(みお)。彼女はプロゲーマーとして世界大会に出て賞金を取ってくる凄腕プロゲーマーだ。

 そして、私の飲み友達でもある。


「美緒ー、助けてぇー」

「どした?」

「どうあがいても自殺エンドになるんだよぉ!」

「自殺エンド? あー、悪魔の国ね。格ゲーじゃないから私もそんなに興味ねーんだけど…」

「そんなこと言わずにい! 自殺エンドだけは昔を思い出すの!」


 自殺エンド何回も見せられてこっちが病みそうだ。これでトゥルーエンドはありません。臓器(デッド)オア自殺(デッド)という結末ならソフト壊して売る。


「ったく…。って、結構生々しい…」

「軽くホラーなんだよ! 怖い怖い!」

「はいはい…」


 美緒はレジ袋をテーブルに置き、コントローラーを手にする。

 そして、最初からを選択し、始めていた。


「ふぅん、借金ね…。生々しすぎるよ。こんなの逆に求めてないっての」

「リアルだよねストーリーも」

「死ぬしかないなポル○レフ」

「わりとまじで絶望しかなさそーだけど…まずトゥルーエンドに必要な条件がわかんないもんね…。なんでこんなクソゲー買ったの」

「だってぇ…」


 面白そうだって思ったのは言えない。私見る目ないからなあー。わかってるから好きな人がいても付き合ってこなかったんだけど…。


「借金返すのはどうするの?」

「えっと、主人公のやる気と体力があるうちにバイトとかこなすの。ただ体力を0にしちゃいけなくて0にすると過労死するの…」

「なにその死ぬしかない主人公…」

「バイトゲームはね、1日に10回ミスすると上司に叱られてクビになって精神を病んで屋上から飛び降りて…」

「なにその豆腐メンタル!? ってか生存ルートが少ない割に死亡ルート多くない!?」


 うん。異様に死に急ぐのだ。

 

「主人公クズだからね…。ギャンブルに有り金突っ込んで負けて結婚貯金を使い切って離婚、慰謝料求められて、でもパチンコやめれなくて会社サボってクビになり、とうとう闇金に手を出して…」

「…なにそのクズ」

「そんな主人公です」

「そう聞くとやりたくねぇ!」


 わかる。ひじょーにわかる。

 こんな主人公に感情移入もクソもないよ。本当にクソゲーだよ。わりとまじでオープニングから思えた。


「ま、やってきますか…」


 嫌々な雰囲気を醸し出しつつ美緒はゲームを進めた。






 夜が明けた。

 買ってきたビールも無くなり、買い足して、ゲームをしていた。

 私たちはすでに出来上がっており、私は美緒を応援する。


「だあああ! なんでだよ!」


 エンディングは三回見た。ストーリーが短いのもクソゲーの要素だ。

 

 そして三時間後。


「おい! 見ろ! 新たな死に方だぁ!」

「ドラム缶にコンクリ詰め東京湾だぁ!」


 また三時間後。


「また新たな死に方ぁ!」

「ロシアンルーレット!」


 そして、午後6時。

 朝ごはんも昼ごはんも食べずお酒だけ飲んでゲームばっかしていた。

 私は頭を押さえる。


「うー…頭いた…」

「飲み過ぎた…。でもついに…」

「「トゥルーエンドきたああああ!!」」


 主人公生存ルート!

 どうやら条件は借金返し終わる直前に離婚した妻と娘に会うこと、らしい。

 主人公は再婚し、また人生をやり直すというものだ。それを終えて私たちは…。


「「もうやるかこんなクソゲーが!!」」


 クリアするまで2日かかった!

 ってか注意深く観察してないと奥さんいるの気づかねーって! なんで奥さん通行人に混じってんだよ! わかりづれえわ! 声かけろや!


「…もう、無理」


 私たちはその場に倒れ、そのまま眠りについた。

















 後日談


 私の妹が休みらしいのでサプライズで来た。

 私はドアノブを握ると、鍵が開いていることに気づく。


 私は扉を開け、美鈴の名前を呼ぶが返事はない。


「ったく、不用心な…」


 といい、私は中に入ると、美鈴とその友達が倒れていた。

 私は驚いて美鈴に駆け寄ると息はしている。どうやら寝ているようだった。


「なんだ寝てるだけ…ゲーム起動しっぱなしだし。悪魔の国?なんだそれ」




 背後で声が聞こえる。


「んー…あれ、お姉ちゃん?」

「お姉さん…?」

「あ、おはよ。ゲームやってるから」

「ん…」


 私は美鈴にゲーム画面を見せる。


「主人公ろくでなしだけど最後ハッピーエンドなんだ」

「えっ、ハッピー…? って、トゥルーエンド!? お姉ちゃんそれ何回目!?」

「え? んーと、やり返してないから初見かな」


 そういうと、美鈴と飯田さんは涙目で私を睨む。


「お姉ちゃんなんか嫌いだー!」

「私たちの一日があああああ!」


 と、二人は飛び出していった。

 なんなんだあいつら…。

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新乙です! まさか作成者って珠洲ちゃん? でも知らないでプレイなんて早々ないだろうし… 取り敢えずゲーム購入前に確認しよう!! 私も同人ゲームが1080円だっんだけど、プレイ前に評価…
[一言] フフフ青ざめたな(子安ボイス) まぁ美咲ちゃんなら行けるでしょ
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