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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
二人の結婚生活
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タワマンのヒエラルキー

 タワーマンション最上階につくまでは少し時間がかかる。私は一人でエレベーターに乗り込んだ。

 エレベーターに乗っていると二人の女性が入ってくる。一人はおどおどしてそうな女性だけどもう一人はなんだかどぎついメイクをした女性。


「…五十階」


 と、そのきつそうな人がそういう。

 誰に言ってるんだろうと思いつつ、壁を背にしてうとうとしていると、もう一度五十階っていう声が聞こえて目を覚ます。

 私に言っているらしく、こちらを睨んでいた。

 

 人にものを頼む態度かと思いつつ、しょうがないので50という数字が書かれたものを押す。私は用事がある45階を押していた。


「ったく、これだから低階層に住むやつらは…」


 と、聞こえみよがしに言ってくる嫌味。

 こういうのってあれか。タワマンヒエラルキーってやつ。どこにも存在するもんだ。ヒエラルキーというのは。私は中学とかはヒエラルキー最底辺でいじめられていたが…。今じゃヒエラルキーなんてばかばかしい。


 たぶん、45という数字が光ってるのを見て判断したんだろうが…。


「ったく、あんたも私を見習っていい男見つけなさいよ。旦那が低収入だから三階なんてひっくい階なのよ」

「…」


 女性の方は何も言えていない。

 だが、嫌そうな顔をしている。


「あの、どこに住んでようがいいじゃないですか。低階層だとこだわる必要ないでしょう」

「はあ? あんた何? 45階ってことは私より低い階じゃない。指図しないでくれる?」

「私45階に住んでませんよ。これから用事足しにいくだけです」


 45階にはここに引っ越してできた友達が住んでいる。

 足立さんっていうんだけど、足立さんはかなりの元気っこでまだ30歳だというのに結構稼いでいる独身の女性だ。

 ただ遊びに行くだけだったのだが。


「じゃあ何階よ」

「気になるなら来てみます?」

「上等じゃない!」

「上等って言葉ここ最近聞かないな…。ま、いいですよ。とりあえずいきましょうか」


 エレベーターが50階で止まって扉が開かれたので、とりあえず二人が下りて荷物を置きに行っていた。そして戻ってくる。勝ち誇っている顔を浮かべている。

 私は何が楽しいんだと思いつつ、100と書かれた番号を押す。それをみていた女性は、少し顔色を変えていた。


「…百階になにしにいくのかしら。あそこはよっぽどのセレブじゃなくちゃ」

「何しにって帰るだけですよ。ああ、自己紹介していませんでしたが城ケ崎です。城ケ崎」

「あっ、わ、私はひ、姫川でふ…」


 と、態度が180度変わった。

 すっかりへこへこしだしている。情けない…。タワマンの住んでる階で優劣つけたってなんもないんだっての。大事なのは生活なんだから。

 私はため息を吐きつつ、百階に到着するのを待ったのだった。






 家につき、家の中にいれる。


「う、うわー…」

「ふおおおお」


 と、二人が窓の外を眺めていた。

 百階ともなるとすごい高さになる。街を見下ろすというのはなかなか。それに、スカイツリーより数百メートル低いってぐらいだから結構遠くまで見渡せる。

 だからたまに怖いのよね…。


「自慢するわけじゃないですけどあまり高い階に住んでることを自慢しないほうが…」

「はい! 姉さん!」

「姉さん!?」

「自分が間違ってました…! ごめんな、早瀬。今まで」

「う、うん」

「この景色を見てわかりました! 上には上がいる、と。所詮井の中の蛙です。調子に乗ってました」

「え、あ、うん?」

「姉さん!たまに遊びに来てもいいですか!」

「あ、え、あ、いい、よ?」

「あ、じゃあ私も…」

「あ、いいです、よ」

「敬語じゃなくていいですよ。私たちまだ29なので…」


 同い年。


「あ、私もまだ29なんだけど…」

「えっ、あっ、いやっ、ごめんなさい!」

「うそっ!? 姉さん20くらいだと思ってた!」


 え、まじ?


「で、ですよね。ものすごく若いなーって思ってましたけど同い年…」

「け、化粧とかはどんなふうに…」

「いや、私普段しないんだけど…」

「化粧しないでこの若さですか!?」

「羨ましい…」


 え、ええ?

 たしかに美容には気を使ってなかったけど私の若さはおかしいのかな。肌荒れとか気にしないでいるし、美容にいいとか聞いてもそれほど…。

 何が原因だろ?


「若さの秘訣は!?」

「え? あー、基本なんもしてないけど…。しいて言うなら規則正しい生活ぐらい?」


 たまに夜更かしはするが基本的には早寝早起きだ。あと適度な運動。


「今は妊婦なんだからそんなですけど妊娠する前は体育教師だったんでそれもあるかな? 運動って大切らしいですから」

「よし、早瀬。明日からジョギングしよう」

「シューズ用意するね。タオルとかもいるよね?」

「もちろん! 近くの公園までだと近すぎるよね?」

「うーん、じゃあ、隣町の公園は?」

「いいね!」

 

 どこまで行く気だあんたら。


「軽いウォーキング程度でも運動にはなるから。それに、今まで運動してこなかった人がいきなり長距離は無理だよ。ジョギングだとしてもまずは短距離で徐々に伸ばしていこっか」

「はい!コーチ!」

「はい、コーチ!」

「誰がコーチだ」


 友達増えたけど変な人たちだな…。












優しい世界ですね。

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] ホントに優しい世界だww あっちはパン子ちゃんが生息してるだけにw [一言] 更新乙です! たまに聞きますけど、低階層に住んでる人を底階層と勘違いしてる人がいるみたいですね。 高層に住…
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