巨乳の巨乳による巨乳のための世界
巨乳が、憎い。
時は高校二年生。世界には巨乳が溢れていた。巨乳が優遇され、貧乳が拒絶されている。
「お前小さいなあ!生きてる価値ないだろ!」
と、私は髪を掴まれ、地面に押しつけられる。貧乳というだけで差別を受け、貧乳というだけで迫害される。
世は、巨乳を求めていた…!
「いったい…。貧乳に生まれただけだってのに何が…」
私は傷だらけの身体で立ち上がる。
よろよろと足取りがおぼつかない。意識が朦朧としてくる。ああ、神様。どうか私に巨乳を滅する力をください…。
私は薄れ行く意識の元、切にそう願った。
《汝のその願い、叶えてやろう》
そういう声が聞こえた気がした。
目を覚ますとベッドの上。私の友人で貧乳である私も差別しないで扱ってくれる珠洲という女の子がいた。
「大丈夫? ほんっと許せないわ…」
「うん…」
珠洲は巨乳だ。虐められない。
私は珠洲の手を握ると…。突然、珠洲の巨乳が縮んでいき、貧乳になった。
突然のことに驚き、キョトンと珠洲の胸を見る。
「なんでえええええ!?」
「ええええええええ!?」
どうやら私は触るだけで巨乳を貧乳にする能力に目覚めたらしい。
自分の力を直ぐに理解した私は笑みが浮かんでくる。そして、自分の手を見た。
「私のこの力が有れば世界を変えられる…! 壊してやる、この世界を…! 貧乳が迫害されるのなんて今日でおしまいだ!」
私はベッドから起き上がり、そのまま外に向かう。
外では巨乳の女性が大量に歩いている。チャンスだ。私は運動神経だけは無駄にいい。私は軽い足取りで次々に女性に触れていく。
見る見るうちにみんな貧乳になっていった。
「きゃあああ!?」
「わ、私の胸がぁっ!」
「あはははは! 巨乳社会はもう終わりダァ!!」
今まで私を馬鹿にしていた人よ、見ているか?私はこんな力を手に入れたんだ。
通り魔のように次々に貧乳へと変えているとニュースが流れている。
『巨乳の女性が貧乳になってしまうという現象が多発しています。犯人は貧乳の女性であり、触られると貧乳になるということがわかっています。なお、名前は広瀬 美咲。巨乳の女性の皆様お気をつけください』
ちぃ。もう騒ぎになっているか。
だがもう遅い。この街はすでに掌握した。巨乳はこの街にはいない。別の街にいくぞ。
私はバイクにまたがり、次の街へ…。
「…はっ」
夢か。若かった自分。
目が覚めて、隣には泊まりに来た珠洲がいた。試しに珠洲を触ってみるが胸が萎んだりはしなかった。
くそ、羨ましい能力だ!
めっちゃふざけた