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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
二人の結婚生活
831/856

サロンにて

 このマンションにはサロンがあり、住民全員は利用可能ということだった。

 私はその端っこの席に座っている。ここの住人には本当にいろんな人がおり、ここに住んでることを自慢したいのか他の人を連れ込んで自慢している人とかゆったり紅茶を飲んでる人とか。


 なんかここだけ別世界だな。


 私も見てわかるように着てる服はブランドものであり、私みたいなTシャツの人はいなかった。ママにもなってこの服はないとは自分でも思うがこれが私なのだから仕方ない。


「あなた最近越してきた城ケ崎さんかしら」

「え、ええ。そうですけど」

「引っ越してきたなら私の家に挨拶に来るのは常識なのになぜこないの?」


 と、何か因縁をつけてきた。

 そんな常識は知らなかったが挨拶回りしてなかったのはたしかだ。荷ほどきに忙しくてついつい忘れていた。

 さすがに下の階の人とかには挨拶に行ったほうがよかったかな……。


「すいません、あいさつ回り忘れてました。本当にすいません」

「そう。わかってるならよろしいのだけれど。で、あなたは何階に住んでるのかしら」

「な、何階?」

「私は八階の805号室よ。もっとも、そんな貧相な服着てるぐらいだからきっと一階よね」

「あー、最上階の1002号室です」

「なっ……」


 たしかこのマンションは階層が上に行くほど家賃が高かったはずだ。

 ああ、もしかしてそれでマウント取ろうとしたんだろうか。セレブの考えはよくわからないが……。そんなことでマウント取る暇あるなら育児したい。

 私が最上階に住んでるときいてちょっと驚いたのか少し黙っていたが、コホンと咳払いをしてまた私に質問を投げかける。


「亭主はなにをしているの? 私は阿久津家の会社の人事部部長を……」

「あ、親会社の社長の運転手をしてます」

「うんてっ……」

「給料は滅茶苦茶よくて社長の次に偉いとか言われてるんですけど私にはその実感がまだなくて。この服も別にこれでいいかなって。つつましくしようなって約束したんですよ」

「…………す、すいませんでした」

「い、いえいえ。お仕事されてるってのは素晴らしいですから」


 人事部の部長というと、結構優しそうな顔だった。

 なんていうか部下思いでこの前満と一緒に行ったときに人事部の目の前を通ったんだが、ある人が娘が風邪だから早退したいと伝えていると、じゃあ仕事は俺がやっとくから早く帰れ。会社ではお前の代わりはいるが家庭ではお前の代わりはいないと言っていたしな。


 夫さんは優しそうな人なのに……。


「他人を見下すのはあまり控えたほうがいいですよ。私は見下されて育ってきて見下した人は碌な未来が待ってませんから」

「ご、ご忠告どうもありがとう……」


 とぼとぼと去っていった。

 な、なんだったんだよいったい。こういう風にマウント取られそうになるの初めてなんだよな。


 で、この人がのちの友達となるとは思いもしなかった。
















作者のツイッター垢でいつ更新したかわかるように更新したらツイッターで呟きます。気になる方はよければフォローをどうぞ。気軽にお願いします。

垢→@mayo_narou

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新乙です! 何故かフラりとやって来た悪役令嬢っぽい人 軋轢とか色々と大変かもから仕方が無いですけど、少し体の力を抜いた方が良い人っぽいですね?
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