同窓会
22歳となり、大学も卒業し新任として最初の学校に赴任した。
ここは私の母校であり、隣町の進学校とは違ってこっちは自称進学校って感じのところだった。校則もちょっと厳しくなっており、私がいた時代の校則よりめちゃくちゃ厳しくなっている。
そして、赴任して頑張っているときにある手紙が届いた。
「高校同窓会……?」
高校の奴らで同窓会を開くということだった。
私はベッドに寝転びながら行くかどうかで悩んでいる。正直珠洲とか地衣が参加しないと私は行きたくないなーと思いながら、ま、久しぶりに顔を合わせてみたいという気持ちもあったのか、私は参加すると丸を付けてだした。
そして当日。
当日は金曜日で仕事を終わらせてジャージ姿のまま集合場所に行く。
「すいません、同窓会ってどこでやってます?」
「二階でやっておられますよ」
「ありがとうございます」
私は階段を上る。
そして、大広間の扉を開けると、結構な人数が集まっていた。みんなスーツ姿だったりスウェットなどを着ていたりなど様々な格好だ。
「遅れたかな?」
「広瀬さんが来た! 葉隠さんは一緒じゃないの?」
「一緒じゃないなぁ……。っていうか珠洲今仕事が滅茶苦茶忙しくて会社にこもりっきりっていうけど」
「え、じゃあ今日来れない感じ?」
「多分?」
残念、という人もいた。
珠洲はゲーム会社に就職しており、入社一年目で仕事の辛さを知るっていうことになった。もちろん弱音は吐いてるが自分で入るといった手前やめれないのと、それでもゲームが好きって言うことも相まって楽しそうにはやっている。
「えっと、私はどこに座ればいいのかな」
「どこでもいいよー」
「じゃ、一番はしっこでいいや」
私は上着を脱ぎ、ハンガーにかけて端っこに座る。
「それでみんな今なにしてんの?」
「俺サラリーマン! 結構ホワイトなところです!」
「私は看護師かな……。結構辛いよ」
「お、俺はちょっとフリーター……」
と、みんな様々な職業についていることが分かった。
広瀬さんは?と振られたので私も答えることにした。
「母校の体育教師。校則滅茶苦茶厳しくなってるよ」
「え、まじで?」
「マジで。私たちがいた時と比べるとほんとに厳しい。まず……」
私が今の校則をペラペラしゃべると、みんな少し顔を怪訝な顔にしていた。うん、私も最初そんな顔になった。
わりとマジで落ちぶれ度がすごいのよ。何でこんなふうになったって聞くとどうやら校長先生が変わり、校則を結構変えたらしい。
「わ、私たち昔に通っておいてよかったわ……。今そんなになってるの」
「校長が結構アレな人でさ……。生徒は結構いいやつらばっかなんだけどね」
「お、俺大人になってよかったよ。よく生徒から不満が出ないよな」
「不満を出させないように私もちょっと見逃してやってるところあるからね~。校長にばれたらちょっとやばいけど」
早くこんな学校を異動したいっていうのが本心だ。
生徒は私の家に尋ねてきたりしているけど基本礼儀正しいし校長だけが問題なんだよな。この学校を変えるとかいってめちゃくちゃ厳しくしやがって。隣町の進学校に対抗してんのかっていう話よ。そっちがよかったなぁなんて思いつつ私はジュースを飲む。
「悪い、遅くなった」
と、神林くんたち三人がやってきたのだった。
「お、広瀬さーん!」
「久しぶり」
神林君は私を見つけ、隣に座ろうとしてた。
それをブロックするかのように城ケ崎君が私の隣に座る。神林君は悔しそうに城ケ崎君を見ていた。子供っぽいないつまでも……。
「城ケ崎君久しぶり。今なにしてんの?」
「俺か? 俺はまぁ、しがないサラリーマンだな……。そういう広瀬は?」
「私? 体育教師」
「立派な職業に就いたもんだな」
「国家公務員だから給料安定してるのは事実だけど立派って言うにはなぁ」
立派とは程遠い気がする。
私の勤めてる学校は体罰のうわさが絶えなくなった。あの校長が来てからは。私は現場を見たことがないし、見たくもない。けど、生徒から時たま相談を受ける。
私は生徒を安心させるために調べてみるといって調べてはいるが……。未だに手掛かりはなし。
犯人は絞られてるんだよな。校長の息がかかった先生がいるし、多分そいつだと思う。
ただ校長がな……。
「今の学校体罰だーとか言っててさ、本当にやばい」
「体罰?」
「私たちの母校だよ。校長がやばい」
「そんなことになってんのか……。さすがにそれはダメじゃないか?」
「だから代わりに私が親御さんに謝りに行ってるんだよ。調査しておりますとかいっても親御さんに叱られるわ、でも体罰する教師が名乗り出ないわでもう鬱になるくらいだよ本当は」
「お疲れさん。今日はそんなこと考えんなよ」
と、城ケ崎君がジュースをコップに注いでくれる。
今でも気が利くな。
「ありがとう」
「…………ッ」
と、城ケ崎君がぷいっと顔をそらした。
周りの視線がニヤニヤしだしている。
「城ケ崎君。二次会行かないでホテルでも予約する?」
「ば、バカいうな!」
「あはははっ。今更こういった甘酸っぱいところみれるのが新鮮だ!」
「顔赤いぞー! 酒でも飲んだかー?」
と冷やかしが入る。
「ま、愚痴聞いてくれてありがとさん」
「お、おう……。お、俺でよければいつでも聞くが」
「ほんと? なら今度一緒にまた聞いてよ。これ、私の連絡先ね」
と、私は連絡先を紙に書いて城ケ崎君に渡したのだった。
これが、初めての出会いというか、久しぶりの出会いだった。
あとはまぁ、なんやかんやあったっていうか、何度か愚痴を吐くうちにあっちから告白されてしまい、まんざらでもなかったので付き合うことになった。
付き合うって言うのは恐ろしいもので、最初は何の気もなしにだったけど付き合っていくうちに意識してしまって好きになってしまったんだ。
わかりづらいんで補足しますと
こちらの美咲ちゃんは新任で異動前です…設定としてそうねってたけどわかりづらかった…