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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
番外編
823/856

番外編 七夕

 七夕。

 それは、彦星と織姫が会えるたった一日である。笹に願い事を釣るしておくとその願いが叶うとか。


 高校二年生の私は、近くで行われている七夕祭りに来ている。真野ちゃんがくるらしいので、私は万全の態勢で挑むことにした。

 あと、七夕なので願いごとを書くのもある。


「着物似合ってるねー。流石美咲」

「地衣。私としてはいつものスタイルでもいいんだけど、珠洲のお母さんが仕立ててくれてさ。着ないわけにもいかないし」

「珠洲のお母さんナイスだよ。ねえ、写真撮っていい?」

「あまり好きじゃないんだけど写るの……」

「先っちょだけでいいから!」

「えぇ……」


 まぁ、しつこく粘られるのもあれなので撮られておくことにした。七夕祭りと言えど祭り。気分がいいときにわがままは通されるべきだろう。

 

「で、願い事はなんて書いたのかな二人とも」

「私はゲームの大会で優勝できますようにだな。ネトゲで大会があるんだよ」

「へえ。美咲は?」

「胸が大きくなりますようにってことかな」

「…………」

「なんかいって」

「その、叶うといいね……」


 なんだよその同情的な目は! 違うから! 大丈夫だからね!?

 いや、いざとなったら青いネコ型ロボットに叶えてもらうから! 不思議なぽっけで! 不思議なぽっけで叶えてくれるっていうから!


「でも、胸が小さい人って浴衣似合うってのマジなんだな! 似合ってるぞ!」

「……珠洲。帰ったら覚えておけよ」

「ひっ……」


 だから嫌だったんだ……。

 浴衣は胸がわかりやすいから……。珠洲と地衣は立派なもんお持ちだから? そりゃ強調されるわけよ。胸の下に帯があるしそれにのっかってる形になるね。

 私は? 私すっかすかなんですけど。ふざけんな。なんて理不尽だ。


 ……ユルセナイ。


「珠洲ゥ~私喉乾いちゃった。飲み物買ってきて?」

「自分で行け」

「あ゛?」

「今すぐ行きまっす!」

「あ、ついでに私のもお願い。ブルーハワイ!」

「私メロンな」

「トロピカルドリンクかよ!? 自販機で済まそうと思ってたのに!」


 けっ。並びやがれ。

 

「それにしても蚊もうとんでんのか。うざいなぁ」

「まぁ、夏だからね。虫よけスプレーとかしてないの?」

「あれ臭いし」

「しないと寄ってくるよ」


 地衣と話して十分がたった。


「流石に遅いなぁ」


 十分も立って買えないのか。

 珠洲の様子を見に行こうとすると、肩をとんとんと叩かれる。振り返ると、そこには骸骨がいたのだった。


「ひいやあああああ!? お化けえええええ!?」


 私は思いっきり骸骨にグーパンチを決めてやると、骸骨の顔が取れて中から珠洲が現れたのだった。どうやら私を脅かそうとしてこのお面をつけたらしい。

 わ、私はお化けにはなにするかわからないからな。じ、自業自得だあほ……。


 あー、ビビったぁ。


「グーパンはないでしょ。グーパンは……」

「さすがに珠洲ちゃんが悪いよ。で、ジュースは無事?」

「うん……」


 私たちにジュースを渡してくる。

 ありがとうとだけいって受け取った。


「……あれっ!? 代金は!?」

「珠洲のおごりで。ごちです」

「くうううう!」


 ふっ。貧乳を馬鹿にする罰だ。
















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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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