番外編 北海道に来た
大学の冬休み。
時間が取れたので珠洲に会いに行くべく北海道にいくことになった。珠洲は札幌のアパートで一人暮らししているらしく、多分散らかしてる。
私と真野ちゃんで行くことになった。
「来た! 新千歳!」
「久しぶりって感じもしないなぁ。先月来たからねぇ」
「私にとっては修学旅行以来ですよ!」
結構な厚着してきたけど、外はどんなんだろうか。
そうドキドキしながら、外に出ると、しんしんと雪が降っており、少し寒い。さすが北海道。寒さの格が違うぜ……。
それに、雪。雪は初めてではないけど、でもちょっと珍しい。しかもこんなに積もってるなんて。私の住んでるところだったらもう大慌てだろうなぁ。
「それじゃ、タクシー乗って……」
「です……うわっ」
つるんと滑って転んでしまった。
私は起き上がる。
「美咲ちゃん。普通の靴じゃ危険だよ?」
「みたいですね……。いたた……」
でもこれしか靴ないからなぁ……。
真野ちゃんは苦笑いをして、私を立たせてくれた。
「まず靴買いに行こっか」
ショッピングモールの靴屋でブーツを買った。靴底には滑り止めもついてるらしくあまり滑らないということだ。
私としてはブーツよりスニーカーのほうが動きやすくて好きだけど真野ちゃんがファッションは私が見てあげるからって言われたらそりゃ従うしかない。
「で、珠洲ちゃんの住所わかるの?」
「えっと、たしか学生会館に住んでるってことを言ってたから……。ここ、なんですけど」
「私たち入っていいのかな。親とかじゃないんだけど……」
学生会館の前にいるけど、入っていいのかわからずに立ち往生していた。
すると、中から男性と女性が大勢出てくる。
「あれ? どうかしました? 誰かに用ですか?」
「あー、えっと」
私が答えようとすると。
「あー! 真野ちゃんじゃない!? あの女優の!」
「うわ、マジ!? ファンなんだよ俺」
「リアルな真野ちゃんだ! 生の真野ちゃんだ!」
と、真野ちゃんが囲まれている。
真野ちゃんは苦笑いで握手したり、サインしたりしていた。すると、また学生会館のドアが開かれる。
「お前らぁ! 囲むな人を!」
「この声は……」
「ひい! 葉隠様だ!」
「葉隠様?」
みんな恐ろしいような目で珠洲を見ていた。
珠洲は私を見ると、顔を青く染めていた。
「珠洲。お久しぶり。で、ちょっと詳しく話を聞こうか?」
「……ふぁい」
場所を移して、喫茶店。
真野ちゃんを取り囲んでいた男の人と女の人三人ずつと真野ちゃんと珠洲。そして私。珠洲はしおらしくしていた。
「それで、なんで葉隠様って呼ばれてるの?」
「……以前ガチギレしてボコボコに」
「なんでキレたの?」
「……その、ゲームの邪魔されたから」
どうやら珠洲はゲームの邪魔をされてキレたらしい。
相変わらずというか、なんというか。
「あの葉隠様がしおらしくしている……だと」
「あの女の子何者?」
おい。私はただの体育大学生だぞ。
いや、まあ、それはおいておいて。
「ゲームの邪魔されたから怒るって相当理不尽なことだと思わない? 意図的にやられたの?」
「……」
「違うみたいだね。珠洲。謝れ」
「で、でも…」
「いいから皆さんに謝れ」
「……」
珠洲は、その男性たちのほうを向いた。そして、頭を下げる。
「ごめんなさい」
「あの葉隠様を謝らせた!?」
「え、いや、あの女性さん何者?」
「……えっと、私の幼馴染」
「広瀬 美咲です。うちのバカがすいませんね」
「「「「「「いえ! いいんです!!!」」」」」」
まったく。北海道にまで来てなんで珠洲を叱らなくちゃならないんだ。