未来を視て
本編最終話です
過去との因縁は断ち切った。
私は、ログアウトする。
「……そろそろ、やめようかな」
やめるというのはA2Oだ。楽しいし、飽きてはいない。けど、私はもう十分立ち直れたし、現実にも希望を持てたような気がする。
……まぁ、やめるといってもあまりログインしなくなるだけだし、入院中はとても暇だから……多分やるけどさ。でも、頻度は減ると思う。
「終わった。終わった……。原田は、もう私に向かってはこない。原田を見ても、もう怖くない。今回、私が弱かったのは朱音を信じきっていなかったからだな」
朱音を信じ切っていれば、もっと早く決着がついた。
でも……でも。朱音が裏切ってなくて本当によかった。それだけが、ほっとした。
「案外、なんでもないもんだな」
原田と対決が終わっても、爽快感があるだけでそれ以外は特に何もなかった。
なんでもない。でも、これって結構素晴らしいことだと思う。なんでもないで済ませられるということはさ、もう乗り切ったってことだろう。
……珠洲にはたくさん迷惑をかけた。けど、大丈夫だ。
「終わった……」
私は、ベッドにあおむけに寝転がった。
そして、しばらく月日がたち、私は高校卒業することとなった。
珠洲は、宣言通り飛行機に乗って北海道まで旅だった。行くときに、めちゃくちゃ泣いていたけれど……それでも、前を向いていた。
地衣は、アルバイト先で正社員として雇用されることになった。とても優遇されているらしくて、仕事楽しいといっている。ワーカホリックにならないかだけ心配だ。地衣ならワーカホリックになりそうで怖い。
あと、朱音は教育大学に行って私と同じ先生を目指すらしい。
私は体育大学だけど朱音は教育大学。同じ学校になればいいな。朱音は先生になっていじめをとことんなくしたいといっていた。いじめをなくすのは多分無理だけど、その心意気はすごかった。
そして、あの原田だけれど、就職ができず万引きとかして捕まったそうだ。ナイフを持っていたことから誰かしらに殺意は抱いてたっぽい。
それを朱音から笑って聞いた。
で、私の愛する真野ちゃんは、大学に行きながらも女優業を続けることになった。
車を運転できる歳になったので車を運転。先輩とたまに飲みに行って運転手を務めさせられているって苦笑いしていた。
真綾は、テレビに出ることが多くなった。あの事件でとかと、絵の才能がわかったからたくさん似顔絵を描いてくれと言われている。ものすごく面倒くさいと嘆いていた。
それぞれがそれぞれの未来に向けて前を向いて生きている。
私も、前を向いて生きている。
「美咲! 講義始まるよ」
「わかった。今行くよ」
私も、前を向いて生きていこう。
おしまい。
これで最終話です。八百話というものあいだありがとうございました。
このあと番外編二つ投稿して終わりとなります。ただたまに番外編を投稿するかもしれません。気分次第になるかもしれませんが。
なんにせよありがとうございました。
ミキちゃんのおっぱいにご期待ください。
先生の次回作にご期待ください。