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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第十層エリア 【因縁と怨念の交差】
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私たちは同じ大地に立っている ⑤

 美咲が、ガチギレした。

 全力の精霊魔法をぶちかました。それは外れたけれど、とても威力が高かったのか後ろに生えていた大木に当たると、その大木は塵となって消えた。

 原田はそれを見て、やばいと悟った。


「お、おい。お前! なんでそんな生意気な力を!」

「うるさい。静かにしろ」


 美咲は、威力の低い魔法を原田に当てる。

 原田は怯んだ。けれど、大剣を構えて美咲に突っ込む。ぶんぶんと振り回すけれど、それは美咲に当たることもなかった。

 一度も当たらない。当たるどころか、逆に追い込まれているような錯覚に陥った。


 そして、それは現実となった。美咲は、原田が怯んだ瞬間、思いきり殴り飛ばし、そして、原田に首を掴む。


「お、おまっ……! 俺にこんなことしていいのかよ! お前如きが! この俺に! 俺にィィィ!」

「……うるさいな」


 美咲の眼は……とても、鋭かった。

 今まで見たことのない美咲だった。朱音は、その美咲を見て少し怯えている。射貫くような目。その目で見られたら死ぬかもしれない。

 本能的な恐怖が朱音にも起きた。


 それは、その睨みを向けられている原田も同じだった。


 原田は、美咲の力に少し恐れていた。

 こんなにも強かったのかと、なめ腐りやがってとも思っていた。


「やっとリスポーンした……。って、美咲!?」


 リスポーンした珠洲が、美咲を見て、驚いている。

 幼馴染の珠洲ですら、今の美咲は見たことがなかった。ガチギレしている美咲を見たことは一度もない。怒られたことはたくさんあるけれど、今の美咲は、一度も見たことがない。

 そして、珠洲も、背筋が凍っていた。


 美咲からあふれているのは、殺意。

 その殺意だけで人が殺せそうなほど、鋭く尖っている。


「原田! 逃げろ!」


 思わず、珠洲が叫んでいた。

 だけれど、逃げれるものなら逃げたいけれど、美咲の首根っこを掴む手がどんどんと締まっていく。体力が、どんどん減っていく。

 苦しい。現実でもないのに、原田は苦しいと感じていた。


「お前だけは許さない」

「ひっ……!」


 それは、恐怖が勝った瞬間だった。

 思わず声を上げる。原田は、涙を流していた。美咲をいじめたいという欲よりも、美咲から当てられる殺意。その殺意が本能的な恐怖を呼び覚ます。本能が勝った。

 原田は、「ごめんなさいごめんなさい」と惨めに何度も手を合わせて謝っているけれど、美咲はそれを聞くことはない。


「私が謝ってもお前は許してくれたのか? 私が何度も御免なさいって言ってもお前は許したか?」

「うぐっ……!」

「美咲!」

「どうして私だけ許されないの? なんで私だけ許してくれなかったんだ?」


 射貫くような眼孔が原田を貫いた。

 そして、原田は、そのまま気絶し、ログアウトしたのだった。















感想でも説明はしたんですがこのゲームはPK認められてます。

PKした場合、デスペナルティが重く、死ぬと罰金が科せられるだけでPKは出来るんです。一応ルール上では認められていて、まあ、運営が動きたくても動けません。

あと暴言等々は通報しないと…ダメなんですね。

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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