私たちは同じ大地に立っている ④
原田の武器は大剣だ。
でかい大剣を振り回し攻撃をする。その分隙がある……んだろうけど、その隙がほとんどない。
「お前ってやっぱつまらねえなぁ! はぁ。なら、その気持ちをぶっ潰すのが俺の役目ってことだな?」
「…………」
「来いよ弱虫が。そして死ね」
大剣を思い切り振りかぶった。
私は、精霊魔法を思い切りぶつけると、それを危なく躱す原田。少し怒っているんだろうか。原田の顔がどんどんと険しくなっていく。
生き残るにはやるしかない。やるしかないんだよ。
「私は、もう弱くない!」
「弱いだろうが! デタラメこいてんじゃねえぞ弱虫!」
原田は、大剣を横に薙ぐ。
私はしゃがんで躱すとすぐに大剣を振り下ろしてきた。パワー全振りか!? っていうくらい大剣に隙がない。
大剣なのに素早い連続攻撃とは本当に原田は性格が悪い。
「昔からてめえの顔が気に食わねえんだよ! その不細工な顔がなぁ! 不細工は不細工らしく隅で埃でも食ってろ!」
「……」
「女は所詮顔だろ。お前、ろくな結婚もなにもできねえなぁ。惨めに独り老後を過ごすつもりかよ? それもそれでお前らしいよな」
「……うるさいな」
私は魔法を放つ。
「私はもうひとりじゃないって、前に言ったでしょ?」
「お前は一人だよ。勘違いすんな」
「違う!」
私はがむしゃらに魔法をうった。でも、全部躱されてしまう。
原田の言葉が、私を苛む。やっぱり、克服は無理なのかもしれない。怖い、その恐怖感が今だに心に残っている。
なにか、なにかキッカケがあればいいのに……。やっぱり、私は無理なのかもしれないな。この悔しいという気持ちは、思い上がりから来たのかもしれない。
怖い。怖い怖い怖い。
そして、原田の大剣が私を捉えた。
「ミキ!」
声が聞こえた。知った声だ。朱音ではない。
その声の発生源を見ると、珠洲がこちらに全力でダッシュしてきていた。そして、鎧でタックルを決めると原田は吹っ飛ばされる。
珠洲は、私に手を差し伸べてきた。
「大丈夫?」
「チリン……!」
チリンが、助けに来てくれた。
すると、チリンの背後に原田が立っていた。原田はとても怒ったような表情で私たちを見る。そして、大剣がチリンをぶった切った。
パワー全力で振りかぶった大剣の威力は、チリンの防御力をもってしても、ワンパン。チリンが、ポリゴンと化して消えていく。
防御貫通攻撃……?
チリンが?
「昔から葉隠もうざかったんだよなー。これで邪魔ものが一人消えた」
「……邪魔者?」
何かが、切れるような音がした。
チリンが、邪魔者? 私をけなすならまだしも、チリンもけなすのか? ……許せない。
「ああ、邪魔者だよ。昔から騎士気取りかっての。だっせえ生き方してまであんたを庇いたいいう気持ちがわかんねえなぁ」
「……なくていい」
「あ?」
「わかんなくていいんだよお前如きに!」
私は、思いきり魔法をぶっ放した。