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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第十層エリア 【因縁と怨念の交差】
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私たちは同じ大地に立っている ③

 嘘だと信じたい。

 朱音がそんなことを言ってたなんてことは嘘だって言いたい。朱音は私の友達……なんだ。朱音もそういってくれた。

 でも……でももし本当だったら? それは強い裏切りになるんじゃないか?


「あははは! 本当お前は弱いなぁ! 味方だと思ってたやつの裏切り。やっぱりあいつもこっち側なんだよ! 信用するだけバカなんだよ」

「ち、違うっ……! 朱音はそういう人じゃない!」

「そういう人って……広瀬に霧崎のなにがわかんの?」


 原田の鋭い視線が私を射抜く。


「まさかあの短い付き合いで霧崎の事理解した気になってたのかよ! 笑えるわー! 滑稽すぎる! お腹いてえ!」

「…………」

「いいねぇ! その絶望した顔! 広瀬はその顔がお似合いだよ!」


 何も反論できなかった。

 理解した気になっていた。まだ、私は朱音の事を何も知らないというのに。バカだ。私は、バカだ。朱音は本当に裏切ったのか?

 ……信じたくない。けど。


「しねえ!」


 と、原田に攻撃が飛んだ。

 原田は危なく躱す。


「おー、おー、来たか」

「はぁ……はぁ……。何吹き込んでんだよ! 私はもうそっち側じゃない!」

「朱音……」

「……言っとくけど、私はちょろいって言ってない。でっちあげた話だよ」


 朱音はブーメランを構えて立っていた。


「そうかよ……。お前はほんとうにつまんないやつになったんだな」

「つまんないのはこんなことする奴だろ。つまんない生き方してさ。だっせえ」


 原田と朱音は睨みあう。

 朱音は……裏切ってない。よかった。疑ってしまったのは悪かった。でも、信じてもいいんだよね? 朱音を、信じてもいいんだよね?


「霧崎ィ……。お前、ヒーロー気取りか?」

「んなわけないでしょ? 私はか弱いヒロインだよ」

「不細工なヒロインなんて聞いたことねえなぁ?」

「悪役は悪役らしくどんと構えなよ。下っ端感がすごいよあんた」


 二人はフフフと笑う。


「昔からそうだったよなぁ……! 俺とお前はやっぱり気が合わねえ」

「みさを苛めるときだけしか手を組んでない間柄だったじゃん?」

「生ぬるいいじめは見飽きたんだよ……。いじめはもっと激しくやらねーとな?」


 二人は対峙した。

 にらみ合う両者。私は、ただただそれを見ていた。朱音は、私のために頑張ってくれている。私のために。でも……なんか、申し訳ない。

 本当は、私が立ち向かわないといけないんだ。だから……。


「朱音。原田とは、私がやるよ」

「みさ。いいの?」

「私はこれを乗り越えないといけない。絶望してる暇なんか、ない」

「……けっ。本当につまんねえ奴。見ててむしゃくしゃするぜ」


 私は原田を睨んだ。

 これは、最終試験だ。過去を乗り切るための。だから……私がやらないといけない。


「わかったよ。みさ。頑張って」

「頑張る」


 私は、構えた。

 過去を乗り切る。それは簡単なことじゃない。私のせいであらゆる人に禍根を残した。家族は私を恨んでるのかな。それとも自分の罪を嘆いているのかな。

 珠洲は、どんな気持ちで私と付き合ってくれてたんだろうな。本当は辟易していたんじゃないのかな。

 地衣は、私をウザいと思わなかったのかな。関わりたくないなって、本心では思っていたんじゃないのかな。


 そんなことを考えてる自分を、乗り越える。


 もっと私は、図々しくあるべきだ。





















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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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