第二回 種族限定イベント開催④
飛んでくるのは蛙の舌。
私はそれを躱し魔法を叩きこむ。MPポーションを何個も使用し、相手に攻撃をさせない!
「ゲコっ!」
「うるせえ」
「まじかよ……あれって躱せるもんじゃねえぞ……」
私はひたすらに魔法を叩きこむ。
「げこっ!」
「だまれ」
「これもう俺達入らねえんじゃねえの? 一人で圧倒してるけど」
「本来ならもっと苦戦するはずだけどな。行動パターンは弱体化前と同じだし一発一発が早くて重いから躱せるなんてまず無理な話だが」
蛙は今度魔法を放ってきた。
水の魔法。私はそれを火で一瞬に蒸発させる。
《スキル:プロミネンス を取得しました》
「人間って壊れるとここまでチートになれるのか?」
「……無理。こういう力を発揮するには対象にものすごい憎悪と復讐心がないと無理」
「人間って怖えな……。憎悪だけで力が膨れ上がるとは……」
「いや、本人のスペックもなかなかあるぞ。まずあの光速にも見える舌を見て避けてる。反射神経がずば抜けているんだろうな」
「ほえー、すごいねえ」
「……凛々しくてかっこいいです、ミキお姉さまぁ……!」
蛙の舌がまた私を捕らえようとしてくる。
だが、三度も受ける私ではない。舌は土魔法でブロックした。そしてまたプロミネンスを発動させ蛙を焼く。MPポーションをまた使用。
「ゲコぉぉぉ!」
と、蛙が高く飛びあがった。
おそらく全体攻撃、か。私たちの上に着地しようっていう魂胆だろうが、そうもいかない。私はとっさに水魔法をばらまいた。
ここは土。しかもめっちゃ水はけが悪そうだ。
「うわっ、泥が!」
「危ないからどけろ」
「は、はいっ!」
退けさせて私は飛行スキルで蛙が着地するであろうところに向かう。誰か標的がいないと空中で軌道を変えられたら困るからな。
空から蛙が降ってくる。
巨大な蛙は私めがけて落ちてきた。寸前で避ける。
見事、泥沼にはまったのだった。
「げこぉっ!?」
「はははは! ざまぁみろぉ! 泥なら泳げないだろばーーーか!」
「いつものミキさんじゃない……」
蛙はぬかるみにはまって動けないでいる。すかさず土魔法と火魔法だ! 土を更に盛り火魔法で泥を乾かして動けなようにする!
お前は私と当たったのが運の尽きなんだよぉ! 私に出会った運命を恨みやがれ!
そして、何発が魔法を放って、ザッハークは絶命した。
私をなめんなこの野郎! 昔の私じゃねえからなぁ!? そこんとこ覚えておきやがれってんだ畜生が!
ははっ、それにしても弱かったなぁ! もうちょっと手ごたえあるかと思ったんだけどなぁ!
「……ミキさん壊れたら俺たちいらねえなあ」
「本当に一人で倒しちゃったよ……」
「……絶句」
「やるなぁ! さすが嬢ちゃん! 強いぜ!」
「憧れますぅ! お姉さま!」
「さすがだね! ミキさん!」
本当はザッハーク強いんです。六つの王を基準として弱体化されてますからイベントボスより強いはずなんです。ただ、ミキさんが本気を出しすぎたっていうか、トラウマが強すぎたというか……。
あの飛び上がり攻撃は本来着地して地震を起こして逃げても意味がないんです。ちょうど着地する瞬間にジャンプしたら躱せます。
本来想定していたのは魔王がタンクとなって勇者と機械王、獣王が攻撃、妖精王と不死王がサポートで精霊王が攻撃とサポートをするという想定でいた運営スタッフも絶句しています。
お化けはトラウマはなく純粋に怖いのでここまでの力は起きず恐怖のほうが勝ってしまいミキが弱体化します。避けれる攻撃も避けれなくなります。
逆に蛙はトラウマパワーが限界を突破させてきます。案外相性のいい相手です。だってトラウマが抉られるんですからね。
お化けで弱体化、蛙で強化。つまり蛙を携行しておけと。