慰労会 ①
王都アドバンスのレストラン。
私たちは底に集まっていた。
「「「「「「「かんぱーーい!!」」」」」」」
パンドラの箱を開けた戦いが終わった慰労会という名の打ち上げをしていた。
ロトに久しぶりに王たちで集まらないかと言われ、暇だったので行くことにした。見たところ真野ちゃん以外は全員いるようだ。
マーヤは私の隣でオレンジジュースを飲んでいる。
「それにしても今回の緊急イベントはいつもよりめちゃくちゃ大変だったな」
トロフィがそうこぼした。
パンドラの箱だからな。それは仕方ない。パンドラの箱を開けてしまったからだ。絶望が一気に私たちに襲い掛かってきていた。
まじで死ぬかと思ったよ……。
「それより聞いてくれよ。俺勇者っぽいことしてやったぜ!」
「勇者っぽいこと?」
「逃げ遅れた村娘を庇ったんだ! 勇者っぽいだろ? 俺は勇者だからな」
う、うぜえ……。
みんなそう思ったけどあえて口にはしなかった。
「うざい」
「うざいな」
マーヤとマシュマロだけばっさりという。
それを聞いて少し固まっていた。あれだ。神林君と同じ匂いがする。神林君じゃないよね? 違うよね? さすがに……。
そして、ロトは思い切り机に突っ伏した。
「いいじゃねえかよぉ少しぐらい栄光を誇ったってよぅ……」
「自分偉いでしょアピールするのがうざい」
「黙って飲んでろ」
わぉ二人辛辣ぅ。
二人ロト嫌いなの? と、マーヤを見るとマーヤは少し顔をしかめていた。ロト嫌いなんだな……。たしかに苦手そうな感じはするけど……。
「じゃあ続いてプギー報告します! プギーはね、たいして攻撃もできないから回復に専念してた!」
「ククク……私はひたすら趣味を全うしていたわ。あぁっ……! 素晴らしかったよ! アンデッドの大群をこの目で見れたときはっ……ゾクゾクしたわっ」
「正直、魔物よりミソギのほうが怖かった」
トロフィは少しげっそりしていた。
わかる。なんかオカルト好きに磨きがかかったかのようだ。不気味な笑いも健在で……想像しただけでもちょっと怖い。
軽くホラーだもん……。
「私とニルは隕石の対応に追われていたな」
「モンスターに気を配る余裕はなかったけど他のプレイヤーがなんとかしてくれたよ」
ニルたちはたしか第一層を守っていたんだっけか。
ニルは竜になると図体デカくなるし壁にはもってこいかもしれないな。マシュマロも隕石の対応に追われていたらしいから二人は隕石をずっと相手していたってことだね。
「俺はプギーと一緒に戦っていたぜ! 全力で蹴散らすのは……爽快感があったなぁ」
ガガトツが恍惚の表情を浮かべる。
楽しそうで何よりです。
「えっと、報告する流れか。なら、私たちも報告しておこうかな。私はマーヤと王都アドバイスを守っていたよ。どっちも隕石にかかりきりだったかな」
「ソゥは仕事の都合で参加不可だったね」
私たちも手短に報告しておいた。
「みんな、よく頑張ったな」
トロフィがそういって、私たちは一層盛り上がりを見せた。