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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第十層エリア 【因縁と怨念の交差】
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民衆は希望を求めた ①

 ミキとマーヤは隕石を食い止めている。

 チリンも、なにがなんだかわからずに魔物と対峙していた。


 ミキとマーヤが頑張ってくれているからか、王都に物理的被害はほとんどない。あるとしても魔物によって壊されたものだ。

 いつまで続くのかわからないこの戦況に気が参っている。どうにかならないものかとチリンはそう考えた。精神が消耗していく。いずれかは集中が切れて突破されるかもしれない。できればそれまでに終わってほしい。そう願った。


「厄介なことをしてくれたなぁ……。これじゃ負け戦だよ今のままだと」


 戦っているプレイヤーはミキみたいに躱す達人でもない。

 死んで散っていくプレイヤーもいる。ミキみたいに強いわけじゃない。集中が切れてくるのもあるんだろう。敵の攻撃を避けれない人もいる。

 早期決着にしたほうがいい。これ以上長引かせると危険だ。そう判断する。


「どうにかしないと……。ミキならどうする? この状況をどうやって打破する? 考えろ……。考えろ私。どうにかできないこともない」


 必死こいて考えるけれども思いつかない。


「きっついゲリライベントだなぁ」


 いっそ諦めてしまおうか――

 そう考えた時、上級ででかい声が聞こえる。声を張り上げたのはアルテナ様だった。手には何かしらの箱を持っている。

 あれはなんなんだろう。そう思っていると、アルテナ様は声を上げる。


「パンドラの箱の底には希望があります。絶望は、希望で打ち消せる。この底に残った希望を時間かけて増幅させます! 皆さん方! およそ20分! 持ちこたえてください! そうしたら、この厄災は終わります!」

「……20分か。集中的にきつい時間だ」


 もっと早く来てくれればよかった。けど、タイムリミットが設定された。

 終わりのない戦いから終わりがある戦いになった。それだけでも随分嬉しいものだ。終わりのないただただ精神力を摩耗するだけの戦いなんて、好まないから。

 終わりが見えない旅も、戦いも、飽きてくるし、疲れてくる。


 疲れこそが戦いにおける敵だと思っていた。


「ここが正念場! 戦えチリンちゃん!」


 チリンは頬を叩き、自分に喝を叩きこむ。

 でも、この敵の数はチリンにとっても嬉しかった。モンスターハウスと呼ばれるモンスターだらけの部屋に行くこともある。大抵は死ぬのだけれど……でも、生き残れたとしたら嬉しいには違いなかった。

 チリンはゲーマーだ。そのゲーマーの血が、大量にあふれる魔物を見て喜ばないわけがない。


 どこかきついと思いながらも、嬉しいと思っている自分がいる。


 疲労と興奮が同時にチリンを襲う。


「さぁ、コロシアイゲームの始まり……いや、無双ゲー? 殺戮ゲーム? なんでもいいや。チリンちゃんの剣のさびとなれ」


 チリンは剣をもってかけていく。











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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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