王の矜持、その身に背負い
お待たせ?したような気がします。
王たちがどうしているかです。あと、昨日は投稿できずすいませんでした。
王都に住む人間は黙って空を見上げる。
「世界が終わる……」
誰かがそうつぶやいた。
降り注ぐ無数の隕石群。狂暴化した魔物の軍勢。人々は戸惑い逃げ惑う。阿鼻叫喚に包まれ、みんな死を恐れている。死を受け入れるということはなによりも難しいのかもしれない。
誰もが、神に祈った。どうか、助けてください――と。
「誰かっ……!」
ある村娘は、足をひねり転んでしまう。そして、目の前には魔物の大群が押し寄せてきた。もうだめだ――と目をつむる。けれど、意識ははっきりとしていた。
目を開けると、一人の男性が庇うように前に立つ。
「いけ!」
「あ、ありがとうございます!」
「いいってことよ! 俺は、勇者だからな!」
男性は剣で魔物を切っていく。
村の娘は急いでみんなの後を追っていくのだった。
「今の俺超かっこよかった! ……さて、本格的にまずいなぁ。ミキじゃないから死ぬ可能性もあるかもなぁ」
ある場所では、魔神がいた。
魔神は空を飛び、隕石群と対峙している。下では閻魔大王が魔物と戦っていた。
「ククク……厄災、ね。ノストラダムスの大予言を思い出すわね……」
「俺はこの隕石よりミソギが怖いんだが……」
「私は饅頭が怖いわ」
「落語か」
魔神トロフィ。閻魔大王ミソギ……。
意外な縁だけれども、でも、しっかりと連携は取れていた。
そして、またある場所。
「魔物のオンパレードじゃねえか!」
「回復! みなさん頑張ってくださいねー!」
魔物を一騎当千しているのは獣神のガガトツ。そして、戦うプレイヤーを必死に回復しているのは妖精の創造神プギー。
プギー自体に戦う能力はないので、サポートぐらいしかできないけれど、それでもありがたい効果を得ている。鬼に金棒といったところだろうか。
「逆境こそ俺が燃える……! いくぜええええ!」
熱い男は、その拳に熱を燈し、魔物に叩きこんだ。
「波動砲!」
「ブレス!」
ある所では、隕石群の対応に追われている王がいた。
機械神マシュマロ、竜神ニルヴァーナ。二人は遠距離攻撃で隕石をどんどん破壊していく。これも有利種族を引いたものの定めだと二人はなんとなく理解していた。
「ニル、雑魚は私たちに任せて」
「いっくよー!」
シャンバラとアガルタも相当張り切っている。
「なんとなく俺だけ孤軍奮闘な気がしなくもないけど……」
一人の男はナイフを宙に浮かせてそうごちる。
狙う羽目の前の軍勢。主に獣系の魔物。アンデッドではないことが幸いだっただろう。なにせアンデッドと戦うには分が悪いから。
なんで、こんなクエストが出たんだろうと思ってしまうけれど、ミキがどうせやったんだろうとすぐに理解して、男は笑う。
「楽しいよ。PKしてた頃よりめっちゃくちゃ楽しい」
吸血神、マグダッドは、そう笑った。
そして、ミキとマーヤ。
「ふん」
「数が多いなぁもう」
必死こいて隕石の破壊をしている。
アルテナ様、早く来いと心で念じながらも、目の前の隕石に集中し、戦っていた。でも、ミキと、マーヤの顔はどことなく嬉しそうだった。
「これだからゲームは好き」
「この苦労して何かをなすというのがたまらないよ」
「勇者として、いっちょ頑張りますかぁ!」
「ククク……。アンデッドの群れはやはり最高よ……! 最高のゲームだわ……!」
「こう、隕石を降らすのって普通魔王とか魔神の役目だろうが」
「オラァ! 雑魚どもはひっこんでなァ! カァーーー! 最高だぜこの爽快感はよォ! ゲームでしか味わけないよなァ!」
「回復は私が請け負いますね! 安心して戦ってください!」
「お姉さまのために! お姉さまもきっと戦ってるから!」
「まぁ、見てみぬふりはできないよ。でも、やっぱり楽しいな」
「今の俺……いや、僕はさしずめ殺戮マシーンかな」
「MPの許す限り来い! 隕石!」
「ふっ……。楽しい」
王たちは笑う。
笑って、自分のなせることをしようとしていた。楽しいから、とゲームを心から楽しんでいるようだった。
「あー、疲れたなー。今日滅茶苦茶走ったから……」
真野ちゃんは、ログインしていないで呑気にお風呂に入っていたが。