絶望との戦い ①
学校生活二日目。
アルテナ様がまた隣にいた。アウル先生は驚いて授業どころではなくなってしまっている。なんでまたいるの? お仕事どうした。
アルテナ様をちらっと見る。視線に気づいたのかにっこり笑う。……手にはあんぱんをもって。昨日は肉まん系で今日は菓子パンですか?
「……アルテナ様。私と一緒にこの街の見学をしましょう」
「はひ。ほうひはふ」
「飲み込んでから喋れ」
思わずため口が出てしまった。
アルテナ様と私は立ち上がり、この場を後にする。いや、ほんとごめん。邪魔してすいません。私とアルテナ様は学園の外に出る。
向かうはまず商店街。
「うわ、すごい」
来たことはなかったけどすごいな。
目の前に広がるのは食べ物の店。パン屋だったり魚屋だったり肉屋だったり。日本の商店街か! ってつっこみたくなるような商店街だった。
日本と同じ商品あるんだなぁ。異世界感が少し崩壊した気がする……。でも、これはこれでありかな。
肉屋を見てみると魔物の肉とか売ってるし、魚屋も知らない魚の名前がある。だから何の不思議もないのかな?
「コロッケ一つください」
「あいよー。いま揚げてるからまってな」
「もう買い食いする……」
食い意地はってるな……。
アルテナ様はコロッケを受け取りはふはふと食べる。
「そういえばミキ様。少しお話が」
「お話?」
「ちょっとあるもの創ったのでミキ様に試してもらいたいなって」
あるもの?
アルテナ様が創って試したいもの……。なんかろくでもなさそうだけどな。いや、本当にろくでもなさそうだけど……。
でも、断ることできなさそう……。
「はいはいなんでしょう?」
「これです」
と、取り出したのは一つの箱。
私はその箱を受け取り、まじまじと眺めてみる。何だこの箱は。黒い金の装飾がついた何の変哲もない箱。これの効力をって……。
「パンドラの箱です」
「――っ!」
びっくりして落としそうになった。
パンドラの箱って開けちゃいけない箱じゃないかよ! なんでそれの効力を試せってことになるの!? 私がどうなってもいいの!?
中身は絶望が詰まってるのか?
「なんとなくノリで創ったのですが、処分方法に困ってまして」
「はいはいはい」
「いっそ開けて絶望を対処してくれないかなって」
「他人任せはよくない」
というか絶望っていってもどういう絶望なんだろう。人類じゃ到底倒せないような強敵? なにそれ無理ゲーって感じだしなぁ。
絶望は、物理的な絶望か、それとも精神面での絶望か……。どっちだろう。
「というか、これ私一人で対処できる問題では……」
「……それもそうですね。神たちを呼びます」
私も参加することが決定しているんですね。