アルテナ様の印象
ガッシュ、メルル、カール。
三人が私たちを見てるので私たちも席に座ることにした。最高位っていうのは本当に少ないらしく、この三人も相応の実力があるんだろうなと思う。
王子がいるってことは普通に予想外だったけど……。
「それじゃ、授業を始める。ミキ、マーヤは席につけ」
「はーい」
指定された席に座る。
黒板に何かを書きだした。創生の歴史、創造神の歴史ということらしい。つまりアルテナ様のことを教えるということだ。
……アルテナ様をねぇ。
「この世界を創り出したのはアルテナ様。ここまではみんないいだろう?」
知ってます。
というか、本人に会えますからね。
「この世界には様々な神がいる。その頂点に立つのが創造神、アルテナ様だ」
そういえば神様って何人いるんだろな。
アルテナ様、カーリ、ベノム、オルテナ、サティ、ハーデス、ヒュプイストス……ぐらいにしか会っていないんだよな。
日本では八百万の神というけどこの世界そんなに神様いないだろ。
「アルテナ様はこの世界の管理者だ。とても慈悲深く……」
と、先生のアルテナ様語りが始まった。
慈悲深い……? たしかに人間には優しいほうだけど。っていうか先生クールとかいうし計算高い性格とかいうけどあの人結構天然だからな?
本人と会って会話している以上、先生の解釈? 印象と私の印象が食い違っている。
アルテナ様を恍惚とした表情でほめたたえるアウル先生。本人を知っている私はどうも別人をほめているようにしか聞こえなかった。
そんなこんなで授業は終わる。
まったく勉強にならなかった。一応世界の歴史をまとめた授業だったけど、別人アルテナ様を出しながらだった。向いてないよ先生……。
でも、真綾以外の三人はアルテナ様の印象がつけられてしまったようで。毎日忙しいんだなぁとか言っている。いや、忙しいには忙しいけどたまにあの人世界に降りて食べ歩きとかしてるからね?
「はむ……。ミキ様。食べますか?」
「なんでナチュラルに後ろにいるんですかね?」
噂をすれば影。
手に肉まんを持ったアルテナ様がいた。肉まん一つを私に手渡してくる。
「誰だ!」
と、先生がアルテナ様をみて警戒した。
制服を着ていないアルテナ様は怪しまれても仕方ないのか?
「……あなたも肉まん食べます?」
「い、いるか! 誰だと聞いている!」
先生が剣を構える。アルテナ様は気にせず肉まんを食べている。
この人……剣を向けられているっていうのに食べてる場合ですかね。自己紹介してあげたらどうですか?
「危ないですよ」
と、剣先を掴んで下に下げる。
「美味しいものでも食べて落ち着いてください」
「いや……不審者のやる態度じゃないな……」
この後、アルテナ様だと説明をした。
不審者を警戒する先生
自分が不審者扱いされてると思わないアルテナ様