一つの光明
もう新作を書きたい意欲があるけど主人公たちの設定練るの楽しいことに気づいた。
ネタバレしたい意欲あるけど我慢我慢…
みっともない。
原田とゲーム内でエンカウントしてしまってなに落ち込んでいるんだ。朱音は友達なのに友達でいてくれるよねって聞くなんて……。
私はやっぱり弱い。過去を断ち切ったつもりでいたけれど、それはあくまでつもりだった。本当の私は未だに過去の囚人だ。切り離せるわけがないのかもしれない。
「ほんと……バカだなぁ。私」
私は隣で寝ている真綾に聞こえないように声を殺してむせび泣いた。
今日は、まるっきり眠れそうになかった。
朝が来た。
私は、ゲームにログインすることにした。また原田とエンカウントしてしまうかもしれないという不安はあった。でも、今、何かに没頭しないと私はまた泣いてしまいそうだった。
過去を断ち切ったつもりでいた私が嫌いになりそうだった。現実に嫌気がさしてきた。現実の自分の脆さに、儚さに怒りがわいた。
――だからってゲームに逃げるのか? 辛い現実に立ち向かわないつもりか?
私の中の誰かが叫ぶ。
逃げる私を責め立てる私が私の中にいた。
「逃げて何が悪いんだよ……。逃げるのだって一種の戦い方だろ」
誰に言い訳するわけでもなく、私はそうつぶやいてヘッドギアをかぶる。
自分の心の逃げるなという声を無視して。
私は弱い。弱くて脆い。それのなにがいけないんだ。私がどうあがいたところで過去のトラウマはなくなるわけじゃない。原田に立ち向かおうとする気概も、私にはない。
だから私を責めないで。一人で失望していて欲しい。
「美咲!」
隣から大声が聞こえた。
ヘッドギアを外し、隣の真綾を見る。真綾は少し息を切らしていた。
「……どうしたの?」
「いや、なにか思いつめたような顔、してたからさ」
「……心配かけちゃった? ごめんね。なんでもないよ」
私は微笑む。
「……笑顔下手。真野ちゃんに言わせたら大根だねって言われるよ」
「…………」
「その、何があったかは知らないけど、そこまで悩むことじゃない」
「そこまで……?」
私の何がわかるんだ。
そこまでって、私の悩みの大きさがわからないから言えるんだ。
「いつも思うけど、なんで美咲は過去と一人で戦おうとしてるの? なんとなく聞いていて思ったけど、なんで美咲は過去との結着を独りで付けようとしてるの?」
「……私の事だから」
「美咲だけの問題じゃないでしょ。美鈴ちゃんだったり、お母さんだったり。美咲のいじめに関わった人はたくさんいるよ」
真綾がそう述べる。
まず疑問なのはいじめのこと、真綾に言っていただろうか。……きっと珠洲あたりから聞いたんだろうな。
「美咲の周りだって美咲の過去に関係ある人ばかりでしょ。なら、無関係ってわけでもないんじゃない?」
「……その考えは、あるかも」
「私と真野ちゃんは本当に無関係だけどさ、珠洲ちゃん、朱音さん辺りは関係ないってわけでもないし、巻き込んじゃえばいいでしょ」
「巻き込む……?」
「今の美咲はたくさんの味方がいるのにそれに頼らないことが不思議だよ」
真綾が言った。
……自分の考えがダメだったんだろう。一人で戦おうとしていたからこんな苦しくなったかもしれない。借りだなんだともうそんなのはどうでもいい。私は多分助けてほしいんだと思う。
光明が見えた気がした。
「……ありがとう。真綾」
「……私も力になるから。で、ゲームするの?」
「もちろん!」
私は、ヘッドギアをかぶった。
真綾、ふぁいんぷれー