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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第十層エリア 【因縁と怨念の交差】
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絆の強さ

朱音視点です。

 私は目の前の泣いている女の子の頭をゆっくり撫でる。

 私の友達――美咲は、原田に繋がりを断ち切ってやるといわれた。私と離されると思っているらしい。それはちょっとうれしかった。あんなことをした私でも、友達と思ってくれているということを。

 

 本来は許されるべきじゃない私を許して、友達にしてくれた。みさは、とても優しい。優しくて……誰にも弱みを見せないそんな女の子だった。

 でも、そんな彼女が私にはじめて弱みを見せた。人前では泣かないと聞いていたけれど、私の目の前で泣いてくれた。信頼してくれたと思ってもいいのかな。


「みさ。大丈夫だよ。原田はなんとかする」


 私は原田が許せない。

 私は泣いているみさを抱きしめて、ある決意をした。







 私はすぐに帰り、珠洲ちゃんの家に行く。


「……どうするよ」


 珠洲ちゃんにそう問いかける。

 珠洲ちゃんは少し考える仕草をした。そして、重たく口を開く。


「朱音。放っておこう」


 そう珠洲ちゃんが言ったのを、驚いた。

 珠洲ちゃんが放っておこうだって……? 幼馴染のピンチを、助けないっていうのか? それはいくらなんでもひどいんじゃないの?

 私は軽蔑の視線を向ける。でも、珠洲ちゃんはきりっとして私を睨み返す。


「原田が言ったことは許せないけどさ……。私は、この決着は美咲自身が付けるべきだと思ってる」

「みさ自身が……?」


 珠洲ちゃんはそういった。

 みさ自身が決着をつけるべきだって……。


「美咲が、自分の手で過去の因縁と断ち切らないと、たぶん終わらないと思う。原田の相手は美咲自身ですべきだ。酷な話だと思うけど……自分で決着をつけない限り、美咲は先に進めない」


 いつもの珠洲ちゃんらしくなくそういった。

 私は、軽蔑の視線も向けることはしなくなった。たしかに、言う通りだと思ったから。けど、このままみさが傷ついているところを見ているのも、私自身が嫌だ。

 どうすればいいんだろうか。その答えは未だ見つからず。


「私は美咲を前に進ませたい。だから……慰めはしても、弔い合戦はしない」

「……美咲死んでないよ?」

「……なんて言えばいいんだ?」

「えーっと……かたき討ち?」

「……弔い合戦と同じじゃないのそれ」

「……さぁ?」


 さっきまでの雰囲気が台無しになった気がした。


「こほん。ともかく、私は手助けしないから。美咲自身が何とかするのを待つよ。どうしてもだめなら……私は一緒に戦ってあげるけど」

「……どうしても、ね」

「うん。自殺しそうなほど追い詰められることもあるかもしれない。美咲には幸せになってほしいから、死なせたくない。だから、私がダメだって判断したらいくよ」

「……判断を間違えないでよ」


 私がそういうと珠洲ちゃんは笑う。


「私は美咲と生まれた時からずっといたんだよ? それぐらい、大丈夫」


 二人の絆の強さが垣間見えたような気がした。












珠洲ちゃんは美咲のためを思ってそうしています。

美咲は過去を自分で断ち切るべきだと判断しました。

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