繋がり
原田と対峙したときの恐怖感は未だにぬぐえなかった。
私とかかわっていると、朱音も……原田から。そう考えると少し嫌になってくる。装備がなくなっているとか、そんなんは今は考える余裕がなくて。
私は、そのままログアウトしていった。
まさかゲームで原田と対面するとは思っていなかった。
原田がやっていることを知らなかった。偶然、出会ったというのはとても嫌なことだ。原田を見るや体が動かなくなったし……今だにトラウマなんだろうな。
原田は、私に怒っている。
…私とかかわったら、朱音にも迷惑が行くんじゃないだろうか。繋がりを断ち切ってやると宣言していた。原田は、きっと朱音と私を遠ざけるつもりじゃないだろうか。
……いやだ。
私は、そんな気持ちだった。
私を苛めていた彼女――
彼女自身がやったことは許されることじゃないけど……でも、昔の軋轢はもう私はなくなっていた。友達だと思っている。今は。
そんな友達が離れていくのは……耐えられない。中学とまるで一緒じゃないか。
「やっほー、みさ。来たよ……って何泣いてるの?」
「あか……ね?」
朱音がお見舞いに来た。
私の横に座る。
「なにがあったの? 珍しく泣いてるけど」
「……朱音はずっと友達でいてくれるよね?」
私は不安げに聞く。
これで、嫌だとか言われたら……私はそれでこそ人間不信になりそうだ。信じることにした朱音が私を裏切るだなんて……そう思いたくなかった。
私はきっと、繋がりが大切になったんだ。友達とかと離れたくなくなっていた。昔は繋がりなんて作れなかったから……。きっと、私は友達に依存しているんだ。でも……仕方ないでしょ……。
「……私の事やっぱり嫌い?」
「な、なんでそうなるの……?」
「いや、友達でいてくれるよねって……わざわざ確認してくるし」
「いや……! 嫌いじゃない、けど……」
「でも、仕方ないよ。過去が過去だし……。私はずっと友達でいる。こんないい人を放っておくわけないでしょ? 嫌でも私は友達でいる気だから」
と、私の頭に手を置いてくる。
「で、どうしたの? なんで泣いてたの?」
と、朱音は優しい顔で尋ねてきた。
私は、さっきゲームで原田に会ったことを伝える。朱音の顔色が変わっていった。
「……繋がりをすべて断ち切る、か。あいつならやりかねないな」
原田は、異様なほどに私に執着する。
私のことをいじめて楽しんでいるんだと思う。そんなあいつに腹が立つ。けど、私じゃどうもできないことを知っている。
原田は……頭が狂っている。
「繋がり、ね。たぶん原田は私とみさの間に確執があってつながりが薄いんだと勘違いしている。それを私たちは直してやらなきゃな」
「直し……?」
「もう。みさがそんな弱気なのらしくないよ」
朱音は苦笑いを浮かべた。
「ま、私は何があっても友達だ。だからそう不安にならないで」




