制服を作ろう ②
身分証ってどこで作ればいいんだろう。
「身分証は学園でなら生徒手帳でいい。住んでいる者だったら冒険者ギルドのカードや、役場で本人照明をしてそのカードを持ってくるだけだ」
冒険者ギルドか。
そういえば、ここで登録はしていなかった気がするな。登録しないでいいやと放置していたままだ。冒険者ギルドは金稼ぎぐらいしか使われないギルドでプレイヤーにとってはそんな嬉しくないギルドだった。
まさかここで必要になってくるとは……。
耳栓然り、いつ使うかわからないもんだなぁ。
「身分証がないと絶対通れないんですか?」
「ああ。ここから先は魔物が強くなっている。身元がはっきりしていないと死んだとき遺品の回収に困るのだ」
「ああ、なるほど」
強いから死にやすい。死にやすいがために遺品を遺族に渡すために回収しに行くけど身分証がないと誰に返したらいいかわからないんだろう。
プレイヤーは死んでもリスポーンするから意味はないと思うけど。
「じゃあ作ってきます」
「ああ、待っている」
私は少々速足で冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドはとてもにぎわっていた。酒を煽る者、掲示板の前で依頼を吟味している人、受付にいちゃもんをつけている人とか。
私は登録窓口に立つ。
「すいません、登録したいのですが」
「はい。では、まずこちらをご記入ください」
と一枚の紙を手渡される。
それは契約書だった。死んでしまうことなど書かれており、すべて自己責任だという。当たり前だろう。冒険者は危険だからな。
私はミキと書いて受付の人に渡す。
「では数分お待ちください。測定のものが参ります」
「測定?」
何を測定するんだろうか。
異世界のギルドと結構違うのだろうか。言われた通り待つと黒い服を着た人が近寄ってくる。
「はじめまして、私は測定係のユーリと申します。では、魔力を測定いたしますのでこちらのでかい石板に触ってくださいませ」
「石板? 水晶じゃなくて?」
「はい。石板には自分の能力が表示され……ええ!?」
石板を覗き込んだ彼女は驚いたような声を出していた。
「レベル二百の神様……!」
「……あは」
「失礼いたしてすいません! ランクはSランクからどうぞ!」
「ええ、いいんですか?」
「神様を無下にできませんとも!」
ということでカードを発行するからと数分間待たされることになる。
いきなりSランクって相当やばいと思う。少なくとも噂になると反感を買うかもしれない。気を付けて生きよう。私は身分証がほしかっただけだし……。




