真綾の特技
真綾がペンをもって何かを描いていた。
しゃっしゃと素早く絵を描いている。暇なんだなぁと思いながら見ているとできたと真綾がそういった。
「美咲を少女漫画風にアレンジしてみた」
と、見せてきた絵。
めちゃくちゃ上手かった。少女漫画っぽく目が少しデカい。本当に少女漫画っぽい。
「私、漫画風にイラスト描けるんだよ」
と、真綾が誇らしげに語る。何それすごい。
少女漫画っぽいこの私。私絵はろくに描けないからちょっと羨ましいなぁ。私が描くと人間がゴジラになるんだよ。知らないんだけど。
真綾は「何風に描いてほしい?」と尋ねてきたのでバトル漫画風にと頼む。
「うーん……こんな感じか」
しゃっしゃと躊躇いもなく描いていく。
そして出来上がったのは私が杖を構えて何かを唱えている図だった。魔法使い? A2Oで魔法主体の戦い方だからこういう風なのかな?
でもすごい。ラスボス感ある。
「魔王風に描いてみた」
「なんかそんな感じがする」
雑だけど黒く塗られたローブ。最期の呪文を唱えてる感じがすごい。
なんかこういうのかっこいいよね。もうラスボスになりたくないと思ってたけど思いっきりラスボス路線でいこうかなぁ。黒のローブで身を包んで……。
こういうかっこいいの好き。
「今度はまじのイラスト描いてみて?」
「髪色は黒でいい? 黒しかないし」
「いいよ!」
真綾は私の顔を見ながらしゃっしゃと描いていく。
どんな出来になるんだろう。とても楽しみだ。ワクワクしながら待っていると真野ちゃんがお見舞いにやってきた。
「やっほー……って何してるの?」
「あ、イラスト描いてもらってます!」
「イラスト?」
さっき真綾が描いたものをみせる。
すると真野ちゃんは「おー」と感嘆の声を漏らしていた。真綾の特技すごい。すると、描き終わったのか私に見せてくる。
しっかりと私の特徴をとらえて描いたのかとても似ていた。なんていうか、まじすごいとしか言いようがない。
「わぁ、絵上手いね……。私滅茶苦茶下手だから羨ましいなぁ」
「私もです真野ちゃん。私人間描いたらゴジラって言われました」
「……流石に私はそこまでひどくないけど」
「美咲美的感覚ないんじゃない?」
「そうかも。ファッションも無頓着だからかな?」
美的センスが私にはないんだと思う。
こう、しゃっしゃとイラストを描けるっていう私にはできないことをするって結構すごいし憧れる。いいなぁ。羨ましいなぁ。
「運動神経だけはめちゃくちゃいいんですけどね?」
「……ゲーム見てたらわかるよ」
「バク転とかできたりする?」
「そりゃできますよ。小さいボール投げること以外は大体できますね」
「運動神経にスキル全振りしたんじゃない?」
そうなのかなぁ。




