表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
九.五層エリア 【痛みのセラピー】
778/856

二人そろって風邪をひく

 六月も中盤だなぁ。暑いなぁ。五月もめちゃくちゃ暑かったなぁ。

 いや、今日は……


「「蒸し暑い……」」


 真綾と私でそうつぶやいた。

 外はざーざーと雨が降っていて、小さい男の子が窓を開けてその雨が中に入ってくる。じめじめしててものすごい不快感。

 布団にくるまりたくないなぁ。暑いなぁ。


「窓閉めてほしい……」

「うう、動けない私に腹が立つ……」


 風も吹いていて、私の横の窓を開けっぱなしにしやがったあの子供許さん。私と真綾に雨風が当たり、ベッドがびしょ濡れだよ。

 教育はちゃんとして。お願いだから……。


「な、ナースコールでもしよう」

「そうだね。うん、さすがにびしょびしょだし」


 真綾がナースコールを押した。

 数分もしないうちに真壁さんがくると、ものすごく驚いていた。


「なんで濡れてるんですか!?」


 と言われたので二人で窓を指す。


「なんで開けっぱなしに……」

「小さい子どもが開けっぱなしにしたまま帰りました」

「シーツも布団もぐしょぬれ……。替えましょう」


 そして、数人のナースさんが協力してシーツ交換をしてくれたのだけれど。

 

「「はっくしゅん!」」


 同時に真綾と私がくしゃみをする。

 ああ、なんか体が火照ってきたな。暑い……。すると真壁さんが私の額に手を当てる。


「ね、熱出してるじゃない! 今すぐ手当てするわ!」

「中村さんも出してます!」

「ああ、ちゃんと教育しなさいよ! こんな雨の日に窓開けたらどうなるかわかってるじゃない!」


 真壁さんは相当ご立腹だった。

 私はぼーっとする中、真綾を見る。真綾も少しぼおっとしているようだった。二人ともついてないな。体が火照っているのに肌寒い。濡れてるからだろうか。


「今すぐ体拭くからね。山本さん、中村さんも拭いてあげて」

「かしこまりました。では、失礼しますね」


 タオルで拭かれたのだった。







 風邪ひいた時って無性に寂しくなるよね……。

 なんていうか、孤独感を感じる。昔から風邪ひいた時だけは優しかったなぁ。お母さんもつきっきりで看病してくれて……すりおろした林檎が美味しかった。

 こう、普段厳しかったり優しくなくても風邪の時だけはすごく優しくて……ずっと風邪ひいていたいなって思ったこともあったっけ。


「……お母さん」


 と呟いたのは私じゃない。真綾だった。

 真綾は眠っていて、多分うなされてるんだろう。真綾も真綾で寂しいのかな。


「……あぁ、私も眠くなってきた」


 ちょっと息苦しいかな。

 点滴はうたれてるけど……。でも、ほんとにあの子供だけは許さない……。私はそう思いながら目をつむる。意識は数分もしないうちに落ちていった。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ