閑話 広瀬先生の家で
ある日の休日。
男子高校生二人がある家の目の前に来ていた。
「ここが広瀬先生の家だ。勉強教えてもらいたいだろ? 行こうぜ」
「ええ、でも休日だしそれに広瀬先生は体育を教えてるんじゃ……」
「あの人、昔から勉強ならオールジャンルで行けるらしいぜ?」
「そうなの!?」
気弱な男子高校生と結構がさつな男子高校生二人が美咲の家の前でそう話していた。
そして、がさつなほうがインターホンを鳴らすと中から女性の声が聞こえる。出てきたのは40は超えているだろう女性が出てきた。
その女性は男子高校生ふたりをみて少し首をかしげている。
「だれ?」
「あ、僕は広瀬先生の生徒の真田 幸人です!」
「同じく飯田 悠馬です」
「あら、美咲の。美咲今寝てるのよねぇ。起こしてくるわ」
「いえ、おかまいなく!」
「起こすわよ。美咲、優しいから怒んないと思うわ」
と、その女性は階段を上がっていった。
幸人と悠馬はリビングで待っててといっていた女性のいうことを聞いて上がってリビングで待つコトにしていた。
すると、階段を下りてくる音が聞こえる。
「うちの生徒が来てるって……?」
と、来たのは少し髪がぼさぼさな美咲だった。
今起きたっていう感じだった。
「ああ、地衣の甥っこに飯田くんね」
「ど、どど、どうも!」
「どうも!」
美咲は、洗面所行ってくるといって少し身だしなみを整えるとリビングに行った。
「それで今日はどうしたの? なんか相談したいことでもあったのかな」
「幸人が勉強を教えてほしいって言ってるんです」
「勉強? いいよ」
美咲はにっこりとほほ笑んで目の前に座る。
すると、今度は玄関のほうからまた声が聞こえた。
「美咲ー! 遊ぼう!」
「……ちょっとまってね。しめてくるから」
そんな物騒なことを言って美咲は玄関まで行く。
幸人と悠馬はそんな物騒なことを言った美咲を二度見した。あんなこという人だなんて思ってなかったからだ。
ちらりと覗いてみると胸のデカい女性が伸びている。
「あんたのせいで休日潰れそうなんだけど?」
「……てへ」
「高校時代ちゃんとするって約束しなかった? 昨日夜遅くまであんたの部屋掃除していたから昼まで寝てたんだけど?」
「いや、美咲がいると安心しちゃって」
「もう金輪際してやんないから。大人なんだからきちんとしろ。それと今は生徒が来ているから遊べない。わかったら帰れ」
「生徒さん来てるの!? っていうか、今日地衣も来てるんだけど」
「……はぁ。なら、地衣も勉強一緒に教えて」
「わかったわ」
「私は?」
「帰れ」
と、会話しているのが見えた。
悠馬はそれを見て「後ろの寝転がってる方じゃない女性の人可愛いなー」といった。幸人は「え、あ、そう?」というとどこからかヘアピンが飛んでくる。
「幸人。聞こえてるわよ」
「なんでこの距離で寸分たがわず僕に当てれるの……」
幸人は頭を押さえた。
「おばさん先生とお友達だったんだ」
幸人は隣に地衣を座らせて勉強していた。
「高校時代からの友達よ? それよりそこ、間違ってるわ」
「あ、ほんとだ」
美咲は悠馬のほうをメインに教えていた。
「本当はこういう風に勉強を私の家で教えるってのはダメなんだけどね」
「そうなの?」
「こういうのって結構世間体が悪いんだよ。自分の家に連れてくるって見られたら生徒に手を出してるとか言われるんだ」
「世知辛いわね」
そこを聞くと一気に悠馬に罪悪感が襲う。
「あ……きちゃまずかったですか……?」
「いいよ。幸人は地衣の甥だし友達の甥だからって言い訳できるし。それに、次から気をつけてもらえればいいよ」
と、美咲は悠馬の頭をなでる。
「……と、ごめん。本来こういうのもダメなんだ。撫でるのって」
「え、なんで?」
「ほら、女性に触っただけで痴漢だっていう女性もいるでしょ? それと同じでこう撫でただけで体罰だとかいう人もいなくはないんだよ」
世知辛い世の中だ。
「教師は人を預かって教える立場だからね。預かる人に悪い印象はなるべく与えたくないんだ」
「厳しいわねぇ」
美咲はため息をついた。




