卒業旅行計画 ②
真綾を目にした二人は少しきょどっていた。
城ケ崎君だけが冷静で初めましてと冷静に挨拶をしている。真綾も有名だなぁ。なんて思いつつ。
「フランスかぁ。やっぱりエッフェル塔見たいよねー」
「エッフェル塔ね!」
地衣と珠洲はどこに行きたいかの会話をしている。私はどっちにも混ざらずただただ傍観していた。
フランスはあれだ。スイーツ巡りをしたい。せっかくのスイーツ大国フランスなんだからスイーツ食べなくちゃダメなんだよ。
もう私の頭はスイーツ脳なんだ。
あ、牛乳プリンごちそうさま。
「行き先はフランスでいいか?」
「いいよ。フランスで」
「おっけー。じゃあ、俺が幹事になるから……飛行機代だけ当日もらうわ」
「悪いね……」
「気にするな」
城ケ崎君はそういって私の頭をなでる。
すると、勢いよく城ケ崎君が私の頭から手を離した。
「す、すまん。つい妹にやるように……」
「いや、いいよ。撫でられたのは初めてだけど……」
妹にやるようにってことは親近感を抱いてくれている証拠だと思うの。嫌じゃないし、撫でられることなんてまるでなかったからちょっと新鮮っていうかなんというか。
悪くない。
「イイフンイキダナー」
「神林の魂が抜けてる……!?」
なんで魂抜けるんだよ。城ケ崎君が女の子にモテてるからか?
「まぁ、女子に気安く触るのは避ける。悪かった」
「いや、いいよ。でも城ケ崎君の手って結構大きいんだね。ゴツゴツしてるっていうか」
「あー…ありがとう」
撫でられたときにわかったんだけど手がでかくて結構安心感あるというか。
なんていうかその……おおらかって感じがする。こういうの女子弱そうだなー。私が普通の女子ならすでに惚れていそうなレベルだ。
改めて城ケ崎君の手をまじまじと見ると私の手より倍くらい大きいって感じがする。
「なぁ、お前ら付き合ってないの?」
「なっ……! 付き合ってねえよ!」
「美咲に春が来た?」
「付き合ってないけど……」
告白した記憶もなければされた記憶もない。
これくらいスキンシップの範疇じゃないの?
「……それよりいちゃいちゃ見せるのやめてくんない? 神林がすでに身を放り投げそうなんだけど」
「俺は転生して来世に期待する……」
「やめとけ。転生してもどうせ平民で普通の暮らししかできねえよ」
「ひどい!? でも俺もそんな未来が見える……」
まぁ異世界ってだいたいが自分に都合のいい異世界って感じだしなぁ。
私が転生したら貴族になって……とかありえない。いや、可能性はあるかもしれないけどどうせ悪役令嬢になることは目に見えてる。
バッドエンドまっしぐらだ。
「ま、俺たち帰るわ。またな」
と、城ケ崎君が去っていく。
「もう遅い時間だし私たちも帰るよ。はい、これ今日の分のノートね」
地衣たちも帰っていった。
ラブコメの波動を感じる…