幽霊船よ!前に進め! ②
今度訪れたのは厨房みたいな場所だった。
包丁などが置かれている。マーヤは引き出しなどを漁っていた。
「何もないね。腐った食材もないし調理器具しかないよ」
と、その時だった。
カツン、カツンとどこかから足音が聞こえる――
その音は近づいてくる。
「……誰か来る」
「ひっ」
私は口を押えられた。
そして、そいつは現れたのだった。体がただれていて、目が白目。いわゆる……
「ゾンビ!?」
「くっ。モンスターはでるよね。ハチ……はレベル的に危ないか。ミカエル召還してミキ」
「み、ミカエルぅ!」
私はミカエルを召還する。
ミカエルは突然召喚されたことに驚くけれど状況を理解したのか剣をすぐに構えた。
「ふははは! またゾンビか! 来やがれ!」
「…………」
マーヤはナイフを片手に的確に首筋などを切っていく。人間ならば致命傷のところだ。だけれど、ゾンビはまだ元気だ。
そりゃ致命傷をつけても死んでるんだから痛みもそりゃないわな……。
ゾンビは未だに元気であり続ける。マーヤは攻撃をやめず、どんどんと切っていく。
「こりゃ数が多い……。逃げるしかなさそうだね」
「逃げるったって、どこに?」
「……」
ここは厨房の角。もうすぐそこにゾンビがいる。
すると、マーヤは勢い良くジャンプした。そして、床が突き抜ける。マーヤは落ちていった。ハチもそれに続いて、ルシファーとミカエルも飛び込んだ。
そしてついたのは暗い船底。
ゾンビが落ちてくる様子もなかった。そして、なんと財宝があったのだった。宝箱が置いてあり、マーヤはあけると中の物を取り出す。
「これは古代のナイフ……? レア度がすごいね」
「宝の地図もありますよ!」
「あとは金貨とか王冠とか……。売れば高価なんだろうけど……」
今上層部に行くとゾンビがいる。
ここが安全地帯だとしてどこからどうやって上に行くかが問題なんだよね。階段は一つしかなさそうだし……。
「ここ……一種の聖域になっているな」
「神聖な感じがするぜ。変なの」
聖域だからゾンビが落ちてこないのか。
「……さて、ここからどうでるか」
「そこなんですね…。うぅ、もうゾンビ見たくない」
私だって滅茶苦茶怖い。
あそこの階段が一つだけ。それをあがるとゾンビが出てくるだろう。この船には大量にゾンビがいるので甲板まで安全とは限らない。
「突っ切るしかないか」
「脳筋思考!?」
「でもそれしかないでしょ。出口が一つしかないんだから」
「だけど……」
「それに私は足音を消すスキルがあるし気づかれないと思うし」
「……ハチは?」
「……まぁ、なんとかして」
大雑把!?
でもそれしかなさそうなんだよね。出入口が一つだから……。とりあえず突っ切るしかなさそうだ……。




