幽霊船よ!前に進め! ①
翌日。
やることもないので今度は真綾と一緒にやることにした。
釣り……とは言わないけど、元理想郷のアトランティスによる。ゴブリンがむすっとした顔で出迎えてくれた。
「……人間なんか連れてきやがって」
「ごめんよ。でも、私の仲間だから信頼できると思うよ」
「……ふん。居座らせることは許可してやる」
そしてゴブリンはどこかに消えてしまった。
それと同時にハチがログインしたのだった。ハチはここらへんでログアウトしたために目の前に現れて真綾がびっくりしたのは内緒だ。
「先輩! 今日も来ちゃいました」
「来ると思ったよ。さて、今日も……」
と、海のほうを何となく見るとなんかあった。
……船?
一層の船が漂っている。そして、その船はこちらに近づいてきていた。ゆらゆらと揺れながら近づいてくる。骸骨のマークがどことなく怪しい雰囲気を出していて。海賊?
そして、その船はこの島にぶつかった。
「……何この船」
「乗り込んでみる?」
「こ、怖いですよ……?」
「多分海賊だから大丈夫だって」
私たちは船に乗船した。
船の内部はボロボロであり、甲板にはところどころ穴が開いている。
海賊船ではなさそうだな。人の気配がしない。じゃあなんで動いてたんだろう。と思うと、ある答えにたどりついた。
「……幽霊船?」
そう結論が付くと、一気に私の体が固まったような気がした。
「今すぐ降りよう!」
と、乗ってきた道を引き返すとすでに出港しているのか海しか見えなかった。
ひいいいい!? 引き返せない!?
「どうする? とりあえず探索でもする?」
「……真綾。て、手をつなご?」
「え? なんで」
「その、こ、ここ、怖い……」
幽霊船って幽霊の船じゃないですかやだー。
こんなぼろっぼろな船には誰も乗らないだろうし人の気配もないし幽霊船で間違いないと思う。だからこそ怖いんだよ。幽霊だからさ…。
真綾はため息をつくと私の手を握ってくれた。優しい。
「それにしても広そうですね……。単独行動はしないほうがよさそうですね……」
「そうだね。三人でいこうか」
真綾は私の手を引っ張る。
そして、私はおっかなびっくりでゆっくりと階段を下っていく。
「戦力になる天使か悪魔呼びなよ」
「そ、そそ、そうだね。じゃあルシファー!」
ルシファーを召還した。
「主。どうしましたか」
「ルシファー! 怖いから一緒にいて!」
「かしこまりました」
ルシファーの手を握る。
自由になったマーヤはすたすたと歩き始めた。足速いよ!?
ルシファーは私をおんぶする。そして、マーヤの速度に合わせるのだった。
「ここは船員の個室だった場所みたいだね。ベッドとかがあるし少し物が散乱しているし」
マーヤは怖いもの知らずなのか物を漁っている。
すると、血がべっとりとついたノートをつまみ出した。
「ひいいいい!?」
「騒がない。ふーん。これは日記みたいだね。元海賊船だね」
なんでそんな動じてないの!?
ハチは怖いのか知らないけどものすごくゆっくり物を漁っている。ハチもこのゲーム慣れたなー。いや、そうじゃなくて。
「日付は……結構前みたいだね。うん、でも血で汚れてもう見えないか」
そういうとマーヤはノートをポイと捨てる。
「じゃあ違う部屋に行こうか」
そうマーヤがいった。怖いもの知らずだなぁ……。