天使アリエル
呼び出したのはラファエルとガブリエル。
呼び出された二人は周りを見渡した。すると、アリエルの姿が見えてアリエルに駆け寄っていく。
「アリエル!」
「ガブリエル様……」
悲しそうな目でガブリエルを見ていた。
ラファエルが翼に気づく。ラファエルの顔が一瞬しかめ面になったのが見えた。何かに怒っている?
「アリエル。この翼は?」
「翼? どうしたの!?」
アリエルは悲しそうな顔をして顔をふせる。
ラファエルは何かを理解したのか、すぐに微笑んだ。
「怒ってませんよ。アリエル。自分でダメにしたわけではないのでしょう?」
「……はぃ」
「だから詳しく聞かせてください。何が起きたんです?」
「実は……」
アリエルは詳しく話した。
この理想郷の事などいろいろと。ラファエルとガブリエルの顔が怖くなっていくのが分かった。
「ガブリエル。報告せねばなりませんね」
「そうだけど……これはひどすぎるよ」
どうにかできないものか。
「……実験してみたいことあるからちょっと一緒に来てもらえる?」
私はあるところに向かった。
「その天使の時間だけを戻せということか!」
時空の塔。
主のクロックとクロックに育てられているグレイス。クロックが少しテンション高かった。
「ふむ、出来んことはない、が。私の魔力が介入することになるので悪魔の匂いが付くぞ」
「アリエル。どうする?」
ガブリエルがアリエルに問う。
「そっ……それでもいいです。翼が戻ってくるなら……」
「そうかそうか! ならばやってやろう! では、天使の翼に触れさせるのだ」
背中を向けて焼け焦げた天使の羽根にクロックが触る。
そして、魔法が発動したのが分かった。そして、白い翼がばさぁっと羽ばたいた。どうやら戻ったらしい。アリエルは翼を見て泣き出してしまった。
嬉しかったのか、翼を抱きしめている。
「クロックと言いましたか? ありがとうございます。悪魔でもあなたのような方がいるとは……」
「悪魔は天使を敵視しているからな。だが、私は変わった悪魔だ。天使に敵対するつもりはないさ。それに、私もミキの仲間なのでな。神に仕える悪魔だ」
「そんな悪魔聞いたこと……あるね。ベルゼブブがそうだもんね」
「ベルゼブブさんが特殊なだけですけどね」
……そういえばベルゼブブに最近ご飯作ってないな。
「まぁこれでよいだろう。グレイス。今日の晩御飯はシチューがいい」
「わかりました!」
クロックは去っていった。
アリエルは去っていくクロックに何度もお辞儀をしている。
「よかったね。アリエル」
「よかったですね。アリエル」
ラファエルとガブリエルがそういうと「はい!」と目いっぱいの笑顔でそう答えたアリエルだった。