ゴーストしゅしん
幽霊になった私の下には私の体が転がっている。幽霊になったっていうより幽体離脱のほうが近いかもしれない。
……元に戻ろう。状態異常回復を……。って、あれ? 使用不可? なんで!?
「……戻れないんだけど」
「ええ!?」
スキル使用不可能なんですけど!?
どうするんですか!? このまま幽霊として一生過ごせと!?
「巨乳に恨みを持って死んでいったから巨乳を呪うべく……」
「本当に呪ってやろうか?」
「ごめんなさい冗談です」
スキルが使用不可能で幽霊状態。
ふわふわと浮かんでる物体Xになり下がったっていうわけだな。まぁ、なってしまったもんは仕方ないけど……鏡見たくないな。自分でもなんか驚きそうだ。
「とりあえずミキの体を……」
と、チリンが触れると私の体がどこかに消えた。
姿を消した私の体。チリンは驚いたように私を見る。
「ミキの体イベントリにしまえたんだけど……」
「……まさかの物扱い」
生物の尊厳とは。
ぐっ……。まあいいでしょう。幽霊化という状態異常がどう解けるかわからない以上私の体使わないしな。
私たちはとりあえず探索を続けることにした。
道を歩いていると、建物が見える。都市ってことだから昔住んでいた人間の住処なんだろう。人の気配はない。魔物の気配も生物の気配すらない。
街に降りると家がたくさんあって噴水広場があった。
「……その、さ」
「……うん?」
チィが何かを言いかけていた。
何かこの光景に思うところでもあるんだろうか。
「気になったんだけどここって……第一層エリアに似てない?」
とチィが言う。
そうか? とおもって見渡すと、噴水も、屋敷も、なにもかも第一層エリアに似ていた。瓜二つというかなんというか……。
ここまで瓜二つってなんか不自然だ。なにかあるのかもしれないな。
「……なにか隠された秘密があるのかな」
「あったとしてもこれだけじゃなんもわかんないけどね」
「……あ、あれ、なんか落ちてます」
と、ハチが指さした。
その先には一つの書物が落ちてあった。それをチリンが拾い上げた。表紙の文字はかすれて読めない。チリンは本を開く。
綴っている内容はこうだった。
『理想郷であった土地。我らが穢した。理想郷の力は消え去ってしまった。すまない、愛しき都市よ。お前を見捨てる我らを許し給え』
……理想郷?
ああ、そうか、たしかアトランティスも理想郷と言われている。そういえば理想郷には誰かしらいるはずなんだよな。守り人というべき存在が。
だけれど、誰もいない。理想郷としての力を失った土地か。アトランティスというのは。
「たいして重要そうでもないな」
「そうだね」
内容は一応覚えておくけれどそれほど重要そうではないな。多分この都市の説明のためだろうな。
今日の昼、明日は本当に更新できないと思います。嘘じゃないです。本当に更新できません
いつものように「どうせあるんだろ?」って思ってもないです




