状態異常の森
島に上陸した。
海の中にあったとは思えない。木々が生い茂っている。生物の姿はまだ確認できていない。ただ、道が少し整えられているところをみると生物がいたことは確か。それも人間のような。
きちんと踏み固められてるし人の手が入っていることは間違いなかった。
「この木の実見たことない奴なんだけど!?」
チリンが木の実を手に持っている。形は梨みたいな感じで色は全体的に赤く紫の斑点がついている。明らかに毒だろう。毒だよな? 紫いろの食べ物ないし。あ、いやあるか。紫キャベツとか紫ナスビとか。ナスビは紫か。
……ワンチャン食える?
「チリン。状態異常かかったら治してあげるから食べてみて?」
「う、うん」
チリンがその木の実にかじりついた。
そして、しゃりしゃりという咀嚼音が聞こえる。
「甘い……? 毒にはならな――」
その時だった。
チリンが急に倒れる。
「う、うまく立てない……!」
鑑定してみると酩酊状態になっていた。酔っぱらって足下がおぼつかないんだろう。食べると酩酊状態になる木の実。中にウォッカかなんか入ってんの?
ああ、もしかしてこれお酒にすることができるから酔う?
「ほら、状態異常回復」
「ふぅ」
いろんな状態異常があるな。
辺りを見渡してみるといろんな木の実が生えている。というか見たことない奴ばかり。色的に食べるのを躊躇してしまいそうなのが結構ある。
……でもどんな効果があるかは知りたいな。
「木の実じゃなくてキノコもすごい生えてますね」
「だねー。これなんかシイタケに似てるよ?」
とチィが手にしているシイタケ似のキノコ。ハチもなんだかマ〇オに出てくるスー〇ーキノコのようなものを手にしていた。
チィは恐れることもなくそれを食べた。ハチは恐る恐る一口齧った。
すると、とチィの姿が消える。
「どこいった!?」
「ここです!」
と、腕を握られる。けれども、誰もいない。
と、足下からもなんか声が聞こえる。足下を見ると小さい人が必死に何かを訴えていた。もしかしてこの小人って……。
「チィ!?」
「ミキ先輩! わ、私ここにいますよね……?」
「え、い、いるの? 見えない……って、透明化か!?」
ハチ透明人間になってるの!?
とりあえず状態異常回復をかけると透明人間となっていたハチは見えるようになりチィは大きくなった。シイタケが小さくなるキノコで赤と白のキノコは透明人間になれると。
ここのものはあまり迂闊に手を出さないほうがよさそうだ。
「なんかおかしなものばかりだね。……ところでミキ、これ食べてみない?」
と、チィが差し出してきたのはホワイトマッシュルームみたいなキノコ。
嫌だよ。食べたくない。
「嫌だ……」
「そんなこといわないで! 私たちも状態異常になったんだから!」
「それは勝手に食べただけじゃ……むぐっ」
口の中に勝手に入れられてそのまま飲み込んでしまう。
すると、一瞬だけ視界が暗転した。そして、視界があけてチリン達を見る。特に体に変わったところもない……と思って下を見ると。
「足がない!? っていうか、え」
「……幽霊になったね」
「幽霊だな」
「幽霊ですね……」
なんか白装束着てるし幽霊になったっぽいです。
自分の嫌いなものに自らなるスタイル




