妹、参戦 ②
はっきり言おう。
美鈴のスペックがチート過ぎる。
なんだよ……。なんでナイフ投げをスキルなしに決められるんだよ。なんで気配だけで回避できるんだよ。天才だろ……。
「いや、それお姉ちゃんも言えないからね。反射神経の化け物でしょお姉ちゃんって」
「いや、普通でしょ」
「不意打ちを見てから避けるとか普通ないからね? 寸前のとこでかわすなんてまずないし……」
いや、あれは見て避けるだけの単純なことだし簡単だと思うの。
「それで、第三層エリアに珠洲さんいるんでしょ? 早く行こうよ!」
「あー、それなんだけどいないかもしれないんだ! だから第二層エリアで探してみようか!!」
「そうなの? じゃあ、そうしよ!」
本当は第三層にいるんだけど……私は行きたくないしここで時間つぶして……。
《チリンさんからフレンドコールが届いています》
げぇ!?
む、無視したらこっち来る、よな?
……気が進まないけど出てみるか。いやだなあ……。
「……もしもし」
『今どこにいるの!? 戻ってきてないの!? 来るの遅いから待ってるんだけど私たち?!』
「……行きたくない。怖い」
『……じゃあ、わかったよ。無理はさせないから……』
「今の声珠洲さんじゃん! 珠洲さーん! やっほー! 私も始めたよー!」
『その声は……妹か!』
「そうだよー! で、珠洲さんどこにいるのー? 合流したい!」
『いいけどレベル大丈夫?』
「今7くらいだけど大丈夫でしょ!」
すごい余裕だなあ。
『ならいいけど……。じゃあ、第三層エリアまで来てくれる? 悪いけど入り口まで案内してあげてよミキ』
まあ、それくらいなら……。
『じゃ、落ちあおうねー』
と切られたのだった。
そして、背後から近寄る美鈴。
「……嘘ついたね? お姉ちゃん」
「……ははは、嘘はついてないよ。いないかもしれないって言っただけだから……」
「へ理屈なんて知らない!」
私は首根っこを掴まれて第三層エリアの入り口まで案内されたのだった。
崖の上に立つ私たち。案内したんだけど一向に離してくれる気がしない。待って。いやな予感がする。
「あ、あのー、離してくれません?」
私の嘆願には聞く耳を持たなかった。そして、美鈴は大地を思い切り蹴ったのだった。私を掴んだままで……。
もちろん抜け出せるわけでもなく……。
「行きたくないいいいいいい!」
私は真っ逆さまに落ちていった。
第三層エリアには行きたくなかった。早く死に戻りしたい。でも幽霊には会いたくない……。トラウマになりそう……。まだファンシー的な絵柄だから許せたけどリアルっぽかったらマジで発狂してた!
でも幽霊ってだけで滅茶苦茶怖い……。
ログアウトしたら塩まいとこ。